シャープがスタートアップ製品の検査に乗り出す理由
シャープは今月にもスタートアップからの試作品や量産品の検査受託サービス事業に参入する。保有する検査設備などを活用し、低コストで高品質の検査を実現し、新製品開発を支援する。シャープは新規事業創出を狙いスタートアップとのオープンイノベーションを推進している。2021年度にもスタートアップとの連携を現状の2倍超となる200社に引き上げる。
検査受託サービスでは、天理事業所(奈良県天理市)、福山事業所(広島県福山市)、子会社のシャープ米子(鳥取県米子市)などで保有する検査設備を活用する。温度、振動、電波干渉、耐久性などの検査を想定する。
シャープは自社の製品開発で培ったノウハウを生かして検査を行った上で、結果に対する分析などもスタートアップに提供する。6月中に数十件程度を受託し、8月以降に事業化する予定だ。
シャープは16年以降、スタートアップ支援を強化しており、6月上旬時点で82社と連携している。シャープがアフターサービスを引き受けたり、販路開拓につなげるなど、実績が生まれつつある。今後は資本参加も検討するという。
5月にはスタートアップをモノづくり中小企業に紹介するサービス「モノづくりプロ.net」を開始。オンライン上でマッチングできるため、コロナ禍で対面の打ち合わせが難しい状況下でも、引き合いが増えている。検査の受託サービスとセットで展開し、支援の幅を広げる考えだ。
日刊工業新聞2020年6月5日