「解体」進むシャープ、液晶分社は“アップル工場"買収の交渉材料か

鴻海のグループ企業と統合も

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分社事業は他社からの出資を視野に入れる(シャープの戴正呉会長兼社長)

シャープが鴻海精密工業の傘下で、“解体”しつつある。液晶パネルとカメラモジュールの2事業を、2021年3月期中に分社化することを決めた。両事業を合わせた売上高は1兆円弱(20年3月期時点)で、シャープ全体の売上高約2兆2700億円の半分近くを占める。ただ、どちらも米アップル向け依存度が高く、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化するシャープにとっては、経営上のリスクでもある。

シャープは鴻海の傘下に入ってから、間接部門や知財部門を切り離したほか、19年には電子部品事業の一部も分社化した。今回の液晶とカメラモジュールはこれらの事業と比較して規模も大きく主力中の主力と言える事業。分社化しても連結対象であり、シャープ本体には家電や複合機などの事業も残るが、“解体”は少しずつ、確実に進んでいる。

分社化する液晶、カメラモジュールはともに、他社からの出資を視野に入れる。現時点で株式上場するかは決まっていないが、シャープにとって、これら事業へ投資を続ける負担は大きい。

また、液晶事業についてシャープは、アップルと共同で、ジャパンディスプレイ(JDI)白山工場(石川県白山市)の買収交渉を続けている。液晶事業を分社化し、ファンドや国内企業が経営に参加しやすい環境をつくれば、シャープの負担を減らせて、JDIとの交渉材料にもなり得る。

シャープのアップル向け比率は19年3月末時点で23・5%。白山工場買収で、さらにアップル依存度が高まり経営リスクになる。「シャープは白山工場の買収後、アップル向け以外にも供給できるよう交渉で粘っている」(液晶関連サプライヤー)との見方もある。

一方、親会社の鴻海にとっては、最大顧客のアップル向けビジネスにおいて、グループ内のシナジーを最大化することも課題。シャープの液晶とカメラモジュールを、同じ事業を手がける鴻海のグループ企業と統合することも考えられる。

(大阪・園尾雅之)

日刊工業新聞2020年6月1日

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