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宇宙と地上、進むロボット技術の融合

開発者インタビューも
宇宙と地上、進むロボット技術の融合

JAXAは「かぐや」(SELENE)に続く月探査計画として、月着陸探査機SELENE―2を検討(試験モデル=JAXA提供)


ロボットも「自動運転」


自動・自律化技術は自動車の自動運転や無人化施工技術を想定する。月面や火星表面でロボットを動かす場合、地球からではリアルタイムに操縦できない。指令を出して結果が帰ってくるまでに遅延があるため、周囲の安全を確認して少し進んでは、状況を確認することを繰り返す。星野主幹は「ある程度はロボットが判断して作業ができないと、複数の仕事を並行して進められない」という。一方、自動運転や無人化施工の制御技術はほぼ成熟している。現在技術者が力を入れているのは、人間と混在して運用する際の安全性確保だ。人間のいない宇宙では人身事故は想定しなくてもよい。

「月の砂」を建材や燃料に


ロボット研究者から最も面白いと評されるのが「現地調達・高効率再生技術」の開発だ。JAXAは月の砂「レゴリス」を加工して建材や燃料を現地生産するプラント技術や3Dプリンター技術を想定する。
 だが米電気電子学会(IEEE)ロボティクスオートメーション学会の田所諭次期会長(東北大学教授)は「究極の汎用生産システムへの挑戦だ」と受け止める。
 素材成形から加工、電子工作、組み立て、リサイクルまで最小限の資源で運用する。例えばマシニングセンターやプレス機など機能を絞った小型専用機を並べるミニマルファブ(最小限の工場)と、いくつものツールを使い分ける双腕ロボを比べ、どちらが作れる部材が幅広く、10―20年稼働を見据えた信頼性があるのか挑戦することになる。田所教授は「製造技術者とロボット技術者の腕の見せ所」という。どちらも日本が強い分野だ。
 連携を模索する異分野のロボット研究者は少なくない。資源分野で掘削ロボを開発する筑波大学の川村洋平准教授は「宇宙開発は100年後の人類に記憶される仕事になる」と目を輝かせる。レゴリスの掘削性能を試験して改良を重ねている。

 宇宙への挑戦は群制御を飛躍させる可能性もある。会津大学の成瀬継太郎上級准教授は「従来の群制御は演戯の域を出ていなかった。群探査の次は群作業。ブロック運びを繰り返してピラミッド程度なら作れるだろう」と期待する。
 深海ロボットを手がける九州工業大学の浦環教授は「宇宙と深海のように人間が行けない環境ではロボットが基盤となる基地を造らなくてはいけない。この技術は地方の山林など人が足りない環境を管理する際の必須技術になる」と展望する。

「宇宙は遠い存在ではない」東北大・吉田教授インタビュー


日刊工業新聞 2015年09月29日付「深層断面」記事を再編集
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
JAXAが地上ロボットの技術活用を進めています。予算の制約との兼ね合いは、研究機関であればどこでも抱える課題かと思います。今あるさまざまな技術を融合し、ひとつの形にまとめるのはどうも日本人は不得意なのではないかと最近感じていましたが、ぜひとも色々な研究成果の融合につなげてほしいですね。

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