宇宙と地上、進むロボット技術の融合

開発者インタビューも

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JAXAは「かぐや」(SELENE)に続く月探査計画として、月着陸探査機SELENE―2を検討(試験モデル=JAXA提供)
 宇宙ロボットの技術者が地上のロボット技術の取り込みを急いでいる。ここ数年、地上のロボット開発は、災害対応やインフラ保守管理、自動運転車などの大型投資が続き、自律機能や分散制御、センサーなどの要素技術が芽吹きつつある。これらの技術を取り込もうと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は産学官連携組織「宇宙探査イノベーションハブ」を立ち上げた。宇宙のロボット技術と地上技術との融合が始まろうとしている。

宇宙ロボと地球ロボ「ゴールは違っていい」


 「宇宙開発は計画こそ壮大だが、実現するのが10年、20年先では協業しようがない」―。宇宙技術の開発はその持続性が企業にとってネックだ。宇宙ロボットには地上の技術をそのまま転用できない。真空中では空冷できず熱設計は特殊で、エネルギー源は太陽光か原子力しかない。そのため予算がついたら必要な技術開発を企業に頼む「発注型」が中心だった。ただ宇宙予算の縮小が続き、その都度の発注では企業が事業として継続できない状況になっている。
 そこで宇宙開発だけを研究のゴールとせずに、地上での出口を見込める技術と相乗りしながら宇宙技術を開発する連携スタイルを模索している。JAXA宇宙探査イノベーションハブの星野健研究領域主幹は「それぞれの最終ゴールは全く違っても良い。互いの技術を活用しながら途中まで一緒に開発し、宇宙と地上の応用につなげていく」と説明する。

 JAXAが掲げた技術コンセプトは3種類。「広域未踏峰探査技術」「自動・自律化技術」「現地調達・高効率再生技術」の三つだ。制御系や人工知能(AI)は探査機に転用しやすく、操縦インターフェースはロボットが高度な作業をする際に応用できる。

「ロボの群れ」で惑星探査


広域未踏峰探査は、100―1000台規模の小型探査機を分散協調制御し、惑星表面の探査を目指す。JAXAの久保田孝教授は「昆虫ロボのように機能は限られても、群れとして連携して広範囲を探索する。1台1台は失ってもいいため、クレバスのような裂け目の調査が可能」と説明する。米国の火星探査機「キュリオシティ」は899キログラムと大型で、カメラやドリル、分析機器を搭載した。ただ1100日以上火星で活動しているが、走行距離は10キロメートルにも満たない。米国の大型一点投資に分散多点投資で対抗する。
 このコンセプトに共鳴するのが災害対応ロボなどの研究者だ。飛行ロボット(ドローン)を開発する千葉大学の野波健蔵特別教授は「ぜひ連携したい。ドローンの群制御は被災直後の広域調査にきわめて有用だ」という。震災や津波の後に多数のドローンが連携して被災状況を撮影し、対策本部にデータを送れば救助部隊や救援資源を最適化できる。

日刊工業新聞 2015年09月29日付「深層断面」記事を再編集

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