中西経団連会長インタビュー「グローバル化は止まらない」

「(経済は)危機的な状況になりそうな瀬戸際」

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任期3年目に入った中西会長

新型コロナウイルス感染症が世界経済に影を落とす中、経団連が2020年度の事業方針をまとめた。新型コロナ克服と新たな成長実現の両立を目指すという。中西宏明会長に事業方針や経済の現状認識を聞いた。

―事業方針をまとめました。
「デジタル化をてこにした成長戦略の強化を柱に掲げた。今回(のコロナ禍で)逼迫(ひっぱく)した課題となった働き方改革も挙げた。実際(テレワークなどを)やってみると時間と場所に縛られない働き方がうまくいくのではという可能性が見えた。積極的に(普及に)取り組む。今まで議論してきたことを、(コロナ禍によって)一気に加速して進めなくてはいけなくなった」

―国際経済秩序の再構築も掲げています。
「コロナ禍は国際関係に深刻な影響を与えている。自由に開かれた世界で、日本がしっかりとしたポジションをとって秩序を再構築するような活動もしていきたい」

―グローバル化の弊害が指摘されています。
「グローバル化の捉え方は国や地域によってさまざまだ。反グローバルの考えの背景にはグローバル化が生活にとってよくないというのが(地域によっては)あると思うが、グローバル化しない方向になるのかというとそうではない。グローバル化は経済的発展や生活レベルの向上というメリットの方が大きい。特に、日本は資源がなく人が財産だ。グローバル化が止まる方向に行くと日本の発展の可能性をなくしてしまう」

―経済の現状認識は。
「供給サイドでサプライチェーン(部品供給網)の寸断があり、需要サイドは巣ごもりでモノを買わなくなっている。海外の影響を考えるとグローバル企業も需要減少の影響を受ける。倒産が増えて不良債権が膨らみ銀行の経営が悪化するとお金が回らなくなる。負の連鎖が起こりうる。危機的な状況になりそうな瀬戸際にある」

―そのような状況に経団連としてどういう姿勢で臨みますか。
「デジタル化とグローバル化は社会の大きな底流だ。この動きをどう前向きに捉えて経済を活性化するかという取り組みになる。感染症対策を進めながら経済社会をきちんと回さないといけない。大変難しく大きな挑戦に経団連としても真正面から取り組む」

―1年前にリンパ腫治療のため入院しました。
「なんとか回復した。幸いにして今は仕事ができる体調だ」

【記者の目】
2日の総会で中西会長は任期3年目に入った。これまでの2年とは異なり“ウィズコロナ”でのかじ取りとなる。だが中西体制がこれまでに主導・提唱してきたデジタル化や未来社会「ソサエティー5・0」は今後も共通のテーマとなる。むしろコロナ禍で重要度が増す。中西体制が打ち出した方向性は今後一層確かな流れとなるかもしれない。

(編集委員・池田勝敏)

日刊工業新聞2020年6月2日

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