「日立=ナカニシ」を払拭できるか。業績が正念場の中でのCEO交代

東原社長がCEOに、中西氏は取締役会長に専念

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中西氏(左)と東原氏
 日立製作所は3日、東原敏昭社長兼最高執行責任者(60、COO)が4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に就任する人事を発表した。中西宏明会長兼CEO(69)は、代表権を持つ会長に就く。2019年3月期を最終年度とする中期経営計画が4月から始動するのに合わせ、東原氏に決定権を集中して経営効率を高める。

 14年から中西氏と東原氏の”2頭体制“を敷く中、海外営業を分担して行うなどして成果を出してきた。また、同時に海外4地域に総代表を置き、成長分野への投資権限と回収・損益責任を持たせるなど各極の指揮権を強化。各部門が自立し成長する体制の構築を進めながら、中西氏はさらなる権限移譲のタイミングを図っていた。

 また16年度から始まる中期経営計画に備え、4月1日付で大規模な機構改革を実施する。09年に導入したカンパニー制を廃止し、電力や鉄道などサービス主体の事業群を12のビジネスユニット(BU)に集約。営業やコンサルティングなど顧客対応部門をBUに集めて強化する。電力・エネルギーや産業・水など四つの市場を設定し、12のBUが市場別の体制で事業をけん引する。

今期業績予想を下方修正。建機や昇降機が苦戦


 日立製作所は16年3月期連結(国際会計基準)予想の営業利益を前回予想比500億円減の6300億円(前期比1・8%減)に修正。中国で建機や車部品、昇降機の販売が苦戦する。またポンプなど資源・産油国向け事業も「競争が激化し(採算が)合わない」(中村豊明副社長)という。

東原「新CEO」はどんな人?


 行動力だけなら中西宏明会長以上との声も。流ちょうな英語を話すが、現場を重視し泥臭いトップセールスで新興国などのインフラ案件をものにしてきた。

 中西会長と同じ鉄道やプラントなど大規模制御システムの大みか工場(現事業所)出身。入社後、最初の指導役が中西氏。週報をすべて英語で書くように言われ、驚いた。やりとりを記録したノートは今でも大切にとっている。東大卒の経営トップが多い日立の中で、地元の徳島大卒。中西さんから薫陶をうけたグローバル視点を養うため、米ボストン大学に留学した努力家でもある。

 川村隆相談役(元社長)や中西会長は時に近寄りがたい威圧感もあったが、同世代から「ヒガちゃん」と呼ばれ。「社長になって、それは変わらない」と本人は笑う。愛読書は儒教の大家である安岡正篤の「知命と立命」。理想を追求する一方で、現実主義者の顔を持つ。

 

日刊工業新聞2016年2月4日付の記事に加筆

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

中西さんが2010年に社長に就任してからの6年間、彼のリーダーシップのもと「日立の顔」であり続けた。2年前の社長交代でも会長になりながらCEOを兼務した。海外の機関投資家からは「ナカニシに会いたい」と言われるほど、この間の日立の経営、株価には「中西プレミアム」が付いていたのも事実。社内でも中西さんに真っ向から意見を言える人はほとんどいなかった。今後も会長として対外交渉や取締役会での重しになるとはいえ、日立のガバナンスは大きく変わる。 東原さんはこの2年間、社長兼COOとして「日立の顔」になるべく準備を整えてきたが、いよいよその時がきた。しかし依然として世界で勝てる強いプロダクツ、ソリューションは少なく、足元の事業環境も悪化。プレミアムが剥がれる中で、このままでは目標とする営業利益率10%は遠のくばかり。どのような手法で日立を変えていくのか注目したい。

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