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コロナ不況の長期戦を見込み、大企業でも資金調達に奔走中!
新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞で、中小企業の資金繰りが悪化する中、潤沢な現預金を保有する大企業ですら手元資金の確保に奔走している。事業環境が見通しにくく、コミットメントライン(融資枠)の設定やコマーシャルペーパー(CP)の発行が相次ぐ。政府も27日に閣議決定した第2次補正予算案で、資本性の資金支援を盛り込み財務基盤の強化を後押しする。
日産自動車の内田誠社長は28日の決算会見で、4―5月に7126億円の資金調達をしたことを明らかにし、「現時点で十分な資金が確保できている」と強調した。
トヨタ自動車は、複数の国内金融機関から総額1兆2500億円を調達する契約を4月に締結、借り入れも同月実行した。ホンダも2000億円の借り入れを4月に実施。マツダは主要取引行と協議しており「現在進めている資金調達を含めると、一定の手元流動性は確保できる」(藤本哲也常務執行役員)という。新型コロナによる需要消失で事業環境の先行き懸念が強い中で、手元資金の拡充を図る。
ANAホールディングスは4月下旬までに、金融機関からの借り入れや融資枠の拡大、日本政策投資銀行(DBJ)からの危機対応融資など総額9500億円の調達にめどを付け「当面の資金繰りに問題はない」(福沢一郎取締役)としている。
「リーマン・ショック時の売り上げ減少インパクトの3倍を最悪の状況として想定する」というのはリコーの山下良則社長。同社は従来の融資枠1500億円に加え、追加で1000億円を金融機関に要請。見込み額500億円の借り入れも検討する。
素材産業も万全を期す。日本製鉄は銀行融資枠6000億円を設定。JFEホールディングスも7000億円程度の融資枠を設定し、十分な資金の流動性を確保している。神戸製鋼所は1500億円の銀行融資枠を整えた。三菱ケミカルホールディングスは「CPを4月に発行したほか、銀行からのクレジット枠を早めに使うことも検討し、手元資金を厚めに持っておく」(伊達英文取締役執行役常務)。
店舗の休業を迫られた小売りも同様で、三越伊勢丹ホールディングスは、20年3月期にCPを300億円追加発行し、主要な金融機関には800億円規模の融資枠の設定を要請した。高島屋は300億円のCPを発行。J・フロントリテイリングもCP発行のほか「融資枠などの資金調達枠を確保できている」(山本良一社長)という。
政府は第2次補正予算案で、12兆円規模の資金繰り支援策を盛り込み、企業規模にかかわらず財務基盤の強化を支える。大和総研の坂口純也研究員は「資本性の資金支援に踏み込むことで借り入れの継続や格下げの防止に役立つ」としている。