納車9カ月待ちも…小型SUV市場で輸入車攻勢が強まる
輸入車メーカーの小型スポーツ多目的車(SUV)市場が活況だ。独フォルクスワーゲン(VW)が同ブランドで最も小さい新型SUV「T―Cross(ティークロス)」を2020年1月に投入する。ボルボ・カー・ジャパン(東京都港区)の小型SUVは納車9カ月待ちの人気を博している。日本メーカーが先行した国内の小型SUV市場だが輸入車の攻勢が強まりそうだ。(取材・松崎裕)
「小型SUVは過去数年、日本で成長し続けてきたセグメント。日本でぴったりのサイズの車種を商品構成に加えられる」。27日に都内で開いたティークロスの発表会でVWの日本法人フォルクスワーゲングループジャパン(愛知県豊橋市)のティル・シェア社長はこう強調した。
ティークロスは全長4115ミリ×全幅1760ミリ×全高1580ミリメートルで、VWのSUVで最も小型だ。車室内や荷室にゆとりを持たせ、視界の良さや力強いSUVらしい外観も兼ね備えたという。ホンダの「ヴェゼル」やトヨタ自動車の「C―HR」など日本車で同規模サイズを検討する若者層の取り込みを狙う。
販売価格も同規模サイズが250万―300万円に集中する中、ティークロスは安全装備などを充実させながら299万9000円(消費税込み)からに設定した。
メルセデス・ベンツ日本(東京都品川区)は小型から大型まで日本で8車種のSUVをそろえ多様なニーズに応える。販売構成比の2割はSUVといい小型SUV「GLA」がけん引する。独ダイムラーは初の全面改良となる新型GLAを12月11日に発表する予定で日本市場の投入に注目が集まる。「小型SUVならではの取り回しは女性に人気。SUVの運転性能を備えつつ都会に似合う質感も好評だ。SUVに興味がある層を取り込んでいる」(メルセデス・ベンツ日本広報)という。
ボルボ・カー・ジャパンは18年に初となる小型SUV「XC40」を投入した。スポーティーさやカジュアルさを持たせつつ、安全機能を充実させたという。各国での人気も高く納車待ちが続く。日本では約9カ月と人気は衰えない。既存のミニバンに物足りなさを感じるユーザーや他社のSUVから乗り換えることが多い。同社広報は「日本の狭い道路環境にあったSUVだ。300万円台から買えるが1000万円台クラスの車種と同等の安全装備を備える」としている。
国内では主力のワゴン「V40シリーズ」の生産終了に伴い、20年にはXC40が日本での販売トップに躍り出る見通しだ。日本のニーズにあったSUVが輸入車各社の新たな顔になりそうだ。