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皮膚科領域で抗炎症剤を!創薬ベンチャー・窪田製薬、アライアンスの流儀

窪田良社長に聞く
皮膚科領域で抗炎症剤を!創薬ベンチャー・窪田製薬、アライアンスの流儀

オリジナル化合物のライブラリーも活用し、他社との共同研究・開発に挑む

皮膚科領域で抗炎症剤、デンマーク社と研究

窪田製薬ホールディングス(HD)はデンマークのレオファーマと共同研究契約を締結した。窪田製薬HDが発見した化合物を、皮膚科領域で医薬品として製品化する計画だ。ただ、人体において炎症が起こるのは皮膚だけではない。窪田良社長にレオファーマとの研究の見通しや、今後の提携に向けた可能性について聞いた。

―レオファーマとの共同研究の狙いは何ですか。

「当社が発見したVAP―1阻害剤を皮膚科領域の抗炎症剤にできないか、レオファーマの知見で審査してもらう。VAP―1というたんぱく質は白血球の一種である好中球を集める。ウイルスや菌が侵入すると白血球が集まる。ただ、集まりすぎると過剰反応を起こし、炎症となる。VAP―1の活性を抑えれば、白血球の集まりすぎが抑まり、抗炎症作用が期待できる」

―他の抗炎症剤との違いは。

「高度な選択性と活性だ。他の必要なモノが集まるのは阻害せず、好中球のみの集まりすぎを抑える。少量で効果を発揮する、他の抗炎症剤に比べて副作用が少ないといった可能性がある」

―レオファーマによる審査後の展望は。

「レオファーマと共同で皮膚科領域の抗炎症剤を開発する。また肺で起きる炎症を抑えられれば、肺炎に関する疾患を治療できる。皮膚科以外の領域で共同研究する企業も見つけたい」

―他にも独自の化合物があるそうですね。

「(化合物は)エミクススタト塩酸塩という医薬品開発の過程で発見した。目の疾患を適応症として開発中の医薬品だ。見つかった多様な化合物はライブラリーとして保存している。当社の宝と言える」

―米航空宇宙局(NASA)とも提携し、提供する医療機器を開発しています。共同開発の意義や提携拡大のコツを教えて下さい。

「常に出会いを求めて経営している。1社で開発するには経営資源に限界がある。(化合物の)活用方法を持つ企業と出会うことで、新たな医薬品開発につなげる。(提携を広げるコツは)どんな化合物があり、何をしている会社か知ってもらうことだ。知名度を上げる活動にも力を入れている」

窪田製薬ホールディングス社長・窪田良氏
【チェックポイント/大手に負けぬ開発力を】

目に関する疾患の治療薬開発などを手がけてきた窪田製薬HDが新分野開拓に動きだした。まず皮膚科領域の抗炎症剤開発を進める。肺炎が原因で起こる急性呼吸窮迫症候群(ARDS)への活用に期待がかかる。また、ライブラリーには多分野にわたり活用できる化合物が眠っているかもしれない。知名度を上げ、提携先を拡大することは同社の成長につながる。共同研究や開発で視野を広げ、大手に負けない開発力を身に付けることが重要だ。

(門脇花梨)

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