「タクシーと連携」「ホテルマンがお届け」…外食産業は“巣ごもり”需要に活路
新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり」需要拡大を受け、愛知県の外食業界が宅配サービスを強化している。カレーうどんの若鯱家(名古屋市北区)は、タクシー会社と組んで期間限定で始めた宅配サービスの終了時期を延長。名古屋を代表する老舗高級ホテルも料理の宅配に乗り出した。愛知県でも休業要請の緩和が始まったが、外食各社の「ウィズ中食」戦略は続きそうだ。(取材=名古屋・浜田ひかる)
「弁当の売り上げが(前期比)約10%伸びた」。「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋の葛原守社長は2020年2月期決算会見で、こう強調した。新型コロナによる外出自粛を受け、特に宅配サービス「ウーバーイーツ」や「出前館」経由で弁当販売が増えたという。
若鯱家は、つばめ自動車(名古屋市中区)など「つばめタクシーグループ」と協業し「名物カレーうどん」などの宅配サービスを期間限定で実施。当初5月13日までを予定していたが9月30日までに期間延長した。さらに、現在は2店舗のみで受け付けているが「対応店舗を増やす」(担当者)予定だ。
一方、いずれも興和(名古屋市中区)傘下で、名古屋を代表する老舗ホテル「名古屋観光ホテル」(同)と「ホテルナゴヤキャッスル」(名古屋市西区)は、共同で5月から弁当などの宅配サービス「シェフズキッチン」を始めた。「牛フィレ肉ステーキ弁当」(消費税込みの価格は1800円)など、両ホテルのシェフがつくる弁当などを宅配する。「お客さまに届けるまでホテルクオリティーを保つ」(担当者)とホテルマンが自宅に届けることもアピールポイントとする。
愛知県も独自の緊急事態宣言に伴う休業要請の緩和を進めている。ただ当面「ウィズコロナ」での経済活動が続くとされる中、外食各社の中食事業の位置付けが変化する可能性もある。