楽天&西友のノウハウ生かしたネットスーパー、利用者急増のワケ
AIで潜在顧客に提案
楽天が持つ1億以上のIDと電子商取引(EC)の知見、西友の実店舗における生鮮食品の管理、販売ノウハウを融合した「楽天西友ネットスーパー」。2018年10月にサービスを開始し、19年12月末には売上高が前年同期比で約30%伸長した。新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛が続く中、自宅にいながら食料品が購入できるネットスーパーの存在価値がますます上がっている。
同スーパーは野菜や魚、総菜、冷凍食品、酒、洗剤など約2万アイテムを取り扱う。スマートフォンやパソコンから24時間・年中無休で、必要な時に必要な量の注文が可能。宅配時間も六つの時間帯から指定できる。このため働く女性らに支持され、利用者を増やしてきた。今秋には横浜市内に2拠点目となる専用物流センターを稼働する。
顧客開拓で力を発揮しているのが楽天の人工知能(AI)「楽天アイリス」だ。楽天から得たビッグデータを基に消費行動を分析し、潜在顧客にネットスーパーを提案する。
一方で課題もある。重いものを持つのが困難な高齢者の需要は確実にあるが、スマホに不慣れなどの理由で取り込めていない。経済産業省によると、国内の消費者向けEC市場におけるEC化率は6.22%にとどまる。
同スーパーを運営する楽天西友ネットスーパーマーケティング(東京都世田谷区)の武田正樹取締役は「食品や飲料などは2.6%と小さい。ネットスーパーが伸びる余地はある」とみる。そこで「ネット利用以外で注文ができないか検討している」(同)とし、高齢者を含めた幅広い層の顧客獲得に努める。(編集委員・丸山美和)
日刊工業新聞2020年5月15日