「太陽電池」再建が暗礁に乗り上げたパナソニック、中国とコロナに翻弄される
マレーシア工場の売却進まず、国内拠点の再編に着手か
パナソニックの太陽電池事業の再建計画が暗礁に乗り上げている。津賀一宏社長が経営改革の柱に位置付け、主力のマレーシア工場と研究開発部門を中国・GSソーラー(福建省)へ売却することを打ち出していた。当初は2019年秋を予定していたが、複数回にわたり見直され、6月1日に延期されたことが分かった。すでに半年以上の遅れで、先行きの不透明感が漂う。中国当局による外国送金に関する審査の長期化や新型コロナウイルス問題が影響した。
パナソニックは独自の太陽電池「HIT」のセルとモジュールの生産をマレーシア工場で一貫して手がけている。売却後はGSソーラーからモジュールを調達し、「パナソニック」ブランドで販売する戦略だ。
赤字が続いていた米国テスラとの太陽電池生産の協業については、5月末に生産終了することを決めている。加えて、島根工場(島根県雲南市)や二色の浜工場(大阪府貝塚市)など国内拠点についても、今後は再編に踏み切るとの見方もあるが、GSソーラーとの交渉が長期化しており、本格的に着手できない状況が続く。
津賀社長は「構造的な赤字事業を21年度までに撲滅する」と目標を掲げ、いち早く太陽電池事業の構造改革に切り込んだ。保有資産を減らし、太陽電池事業の黒字化を狙っていたが、早くもつまずいた格好だ。
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日刊工業新聞2020年5月1日