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iPS細胞から作製した心筋細胞、重症心不全患者に移植

慶大計画提出

慶応義塾大学医学部内科学(循環器)教室の福田恵一教授らは、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)を利用した再生医療の臨床研究計画を、8日にも厚生労働省に提出する。臨床研究では、iPS細胞から作製した心筋細胞を重症心不全患者に移植し、安全性を確認する。厚労省専門部会の審査後、同大病院で年内の移植を目指す。

臨床研究では、iPS細胞から作製した心筋細胞5000万個を心臓の中の血液を送り出す「左心室」に移植する。研究対象の重症心不全患者は国内に10万人以上いるとされる。根本的な治療には心臓移植が必要だが、臓器提供者は少なく、年間で50例程度の治療に留まっていた。臨床研究で安全性が確認されれば、新たな治療法としてiPS細胞由来の心筋細胞移植の研究開発が進められる可能性がある。

iPS細胞由来の細胞を移植する場合、未分化のiPS細胞が腫瘍化するといった安全上の懸念が指摘されている。移植する細胞が多いほど腫瘍化のリスクは高い。福田教授らの心筋細胞は純度が高く、これまでの動物を使った研究では腫瘍化は確認されていないという。

福田教授らの研究計画は2月の学内審査で承認を受けた。その後、研究者の変更があったため再度審査を受けており、4月14日に改めて承認を得た。これを受けて8日に慶大病院の委員会に報告し、厚労省へ研究計画を提出する見込みだ。

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