iPSから肝臓がんモデル成功!抗がん剤のスクリーニングに応用

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岡山大学の妹尾昌治教授、サイード・モハマド・アブデルサブール・アフィフィ博士らはマウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を再発や転移の原因となる「がん幹細胞」に変化させ、これをマウスの肝臓に移植して肝臓がんのモデル作製に成功した。従来の遺伝子変異などの操作をせずに作った病態モデル。診断が難しく死亡率も高いがんの治療などに役立てたい考え。

妹尾教授らは炎症性物質を分泌するヒトの肝臓がん細胞株に培養上清(上澄み液)を添加し、“慢性炎症”の環境を構築。そこにマウスiPS細胞を培養し、増殖した細胞を免疫不全マウスの肝臓への移植で悪性腫瘍のがん幹細胞を作った。その際、がん細胞株の中でもHuh7は炎症に対して治癒に向かわせる因子を発現することなども分かった。

マウスiPS細胞で作製した肝臓がんモデル(妹尾教授提供)

がん幹細胞を正常な組織に移植してできた腫瘍が肝臓がんに特徴的なマーカー(指標)の形態を示したことで、肝臓がんの病態モデル作製につながった。妹尾教授は「モデルはがんの自然発生メカニズムの研究や抗がん剤のスクリーニング(選別)、効果の検証に有効では」と話す。成果は英科学誌ブリティッシュジャーナル・オブ・キャンサーに掲載された。

日刊工業新聞2020年3月20日

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