オープンイノベーションを加速する京セラ、新センターで「1000億円の新事業」の勝算

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みなとみらいリサーチセンターのホールでは討論会などが開かれている

デバイスからシステムまで

京セラがデバイスからシステムまでの一気通貫サービスの提供で成長を遂げようとオープンイノベーションを加速している。カギとなるソフトウエア開発拠点「みなとみらいリサーチセンター」(横浜市西区)が5月で稼働開始から1年を迎える。同センターから「1000億円規模の新事業を創造する」と意気込む執行役員の工藤宏哉研究開発本部副本部長に、研究開発の進捗(しんちょく)や今後の展望を聞いた。(京都・大原佑美子)

―約1年前、関東圏3カ所に点在していたソフトウエア関連の研究施設を同センターに集約しました。

「材料や部品メーカーとして設立した当社だが、デバイスを含めた川上の製品を、いかに効率良く川下のシステムにつなげるかが課題だった。材料・部品は鹿児島県、デバイス関連は京都府の拠点を中心に開発を行っている。関東圏の拠点を集約したことで、スムーズなコミュニケーションが行えるなど開発効率が上がった」

―研究開発以外の活用方法は。

「一般の人や学生らが当社に親しみを持ってもらえるよう試作品が製造できる工作室を整備した。3Dプリンターなどの設備が自由に使える。技術発表や討論会を行うホールを備え、企業間や行政機関などとのイノベーションが生まれる空間として活用している」

―同センター発の事業シーズが複数出てきています。

「横浜みなとみらい21地区は多くの企業が集積し、情報の受発信が活発だ。横浜市など行政の強力な支援が受けられる利点も大きい。この環境が優秀な人材確保にもつながっている。宅配業者の再配達削減と住民の利便性向上を狙った『IoT宅配システム』や、脈波形状の変化から糖代謝状態を推定するデバイス『糖質ダイエットモニタ』の開発など成果も出てきている」

―今後の課題について教えて下さい。

「多くの企業が社会課題の解決に向けたソリューションを提供するという時代に変化している。3年後、5年後の世の中がどうなっているかを見極める“先見性”を持つことが課題だ。そのためには多くの人の意見を聞くことが大事。産官学などのコミュニケーションを強化していく」

京セラ執行役員・工藤宏哉氏

【チェックポイント/まず、“大輪の花”を】

京セラのみなとみらいリサーチセンターは開かれた空間や斬新な内装などから“部品供給の京セラ”イメージを一新させた。既存の取引先からは驚かれるという。ただ、取引のない業界や一般消費者には“ソリューションサービスの京セラ”イメージは浸透していない。今後は芽吹きつつあるシーズを数多く実らせることが実績となり、これによりイノベーションの輪が広がるはずだ。内外の連携を強化し、まず大輪の花を一花咲かせたい。

日刊工業新聞2020年4月28日

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