京セラが過去最大級の組織再編に踏み込む理由
京セラは2020年度内に、現在16あるプロダクトラインの再編に踏み切る。ファインセラミックや自動車部品など取り扱い製品を軸に事業本部や事業部、子会社を置いているが、技術や市場動向から相乗効果が見込める3、4ラインごとに一つにまとめる。過去最大級の組織改編に踏み込み、経営リソースの再配分や意思決定の迅速化で持続的成長につなげる。
これまで同社は製品ごとに組織を展開することで、それぞれ自立成長を促してきたが、第5世代通信(5G)など急激な技術革新の進展で、独立した組織運営が足かせになる可能性が出てきた。加えて「組織をフラットにしないとスピード感が出ない」(谷本秀夫社長)として、各本部の責任者に人事を含めた権限を委譲する考え。
同社は「モビリティ」「エネルギー」「ロボティクス」「メディカル」分野の新事業開拓を目指しており、社内での新規事業プログラムや異業種とのオープンイノベーションなどで、実際に事業化につながる開発案件が複数育っている。組織再編によって社内外との協業をさらに広げるとともに、組織をさらにフラットな構造とすることで、変化に強い事業基盤を構築する。
日刊工業新聞2020年4月17日