停電検出システムで在宅医療患者の安否確認を効率化

位置把握し、迅速な対応に繋げる

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停電した地域を地図上で確認できる

在宅で酸素濃縮器や人工呼吸器を使用する患者にとって、停電は文字通りの死活問題だ。フィリップス・ジャパン(東京都港区、堤浩幸社長、03・3740・5896)は停電をリアルタイムで検出するシステム「Anpy(アンピィ)」の運用準備を進めている。停電地域を地図上で確認したり、患者の位置情報から避難場所を特定したりと災害時の安否確認を効率化する。

停電地域確認

「コンセントにつなぎっぱなしにして通電状況を確認する」とアンピィを開発した北良(岩手県北上市)の笠井健社長は説明する。同製品はスマートフォンより一回り小さな本体とクラウドから構成。通電が途絶えると本体が検出し、クラウドに情報を送る。送られた情報をもとに停電地域をオンラインの地図上で確認できるのが特徴だ。

コンセントにつないで停電情報を検出する「アンピィ」

同製品は在宅医療を受ける患者の自宅に設置する。在宅用の人工呼吸器は停電後も予備バッテリーで数時間駆動するが、酸素濃縮器はすぐに酸素ボンベが必要になる。同製品はリアルタイムで停電地域を確認でき、迅速に予備の機材を届けられる。在宅医療機器大手のフィリップス・ジャパンが導入する。

これまでは停電などの災害が起きるとフィリップス・ジャパンの社員が地域の患者リストを参照し、1軒ずつ電話して安否確認を行っていた。「停電がいつ復旧するかわからない状況では、常に気を張っておく必要があり、安否確認をする社員の負担が大きかった」と同社SRCマーケティング部呼吸グループの岩見真也マーケティングマネジャーは振り返る。

シンプル設計

同製品は停電から復旧した地域も地図上で確認できるため「どの地域から優先的に対応すればよいか把握しやすく、安否確認の効率が上がる」(岩見マーケティングマネジャー)という。

患者の避難場所を特定できるのも大きな利点だ。本体は全地球測位システム(GPS)を搭載し、避難の際に持ち出せば患者がどこにいるのかをすぐに確認できる。北良の笠井社長は「これまでは人海戦術で患者の行方を捜していた」と説明する。本体はコンセントから取り外しても連続72時間駆動する。

北良は産業用ガスなどを手がける企業だが、東日本大震災の経験をもとに医療関連の機器開発や人材育成も行っている。「患者ごとに生活スタイルが異なる在宅医療では、誰もが使いやすい製品を開発する必要があった」と笠井社長は指摘する。

ディスプレーやボタンが一切なく、本体はコンセントにつなぐだけ、災害時も持ち出すだけとシンプルな設計も「ユニバーサルな端末を目指した」(同)結果だ。

現在は停電地域の確認が主な用途だが、将来的には停電情報や位置情報と人工知能(AI)と組み合わせたクラウドの改良を構想する。「患者のいる場所に応じた細やかな対応を提案する機能などを想定している」(同)という。また、位置情報を利用して熱中症の予測など停電の被害以外の分野でも活用を見込んでいる。(森下晃行)

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