コマツがインドネシアで農林機械のオペレーター訓練施設を稼働させる理由
サポート体制を整え顧客開拓へ
コマツは国内外で初めてインドネシアに、農林業機械のオペレーターをトレーニングする施設を開設し、近く本格稼働する。実機やテストシミュレーターなどを配置し、農業従事者が同機械の利便性を体験したり、操作を学べたりできるようにする。農林業の機械化が発展途上である同国でサポート体制を整え顧客開拓につなげる。今後5年以内に、同事業の世界売上高を現状比20%増の1200億円に引き上げる目標の達成に弾みを付ける。
トレーニング施設はインドネシアにある自社工場の敷地内に設置した。投資額は非公表。実機やテストシミュレーター配備のほかに、情報通信技術(ICT)を使って農業用ブルドーザーが、田面を高精度に均平化する作業を体験できるフィールドなども用意する。
インドネシアはコメの自給率を上げるため、国を挙げて新田開拓を進めている。コマツはこの取り組みに着目し、農林業用機械の製品力向上と、トレーニング施設を活用した農業従事者の育成支援の両輪で顧客開拓を進める。製品力向上では湿地帯の多い同国の特性に合わせた農業用ブルを開発し販売を始めた。他の東南アジアでの展開も検討している。
同社は主力の建設機械や鉱山機械に加え、新たな成長が見込める分野として農林業向け機械を海外で拡販する戦略を掲げる。農業分野はブルドーザーを中心に東南アジアで新規顧客を開拓する。林業分野は「プラスチック製品からの代替などで紙パルプの需要が伸びる」(小川啓之社長)と予測し、欧州と北米、ロシア、ブラジル、東南アジアを重点地域と位置づける。
日刊工業新聞2020年4月20日