電磁波の漏れを防ぐ金属シート開発、銅・磁性体の2層構造で最適化

銅シートより約3000倍のシールド効果

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近傍磁界シールドシート。銅と磁性体の2層構造になっている

青山学院大学環境電磁工学研究所の橋本修所長(理工学部教授)、須賀良介助教、神奈川県立産業技術総合研究所は、インバーターなどで発生する電磁波の漏れを効率良く防ぐ金属シート「近傍磁界シールドシート」を開発した。銅と磁性体のシートを組み合わせ、お互いが得意な周波数の電磁波の漏れを抑制する。車載機器や給電装置の電磁波干渉などを防ぐ技術として素材メーカーなどと製品化する考え。

インバーターやコンバーターなどの機器は100キロヘルツ―10メガヘルツ(メガは100万)の電磁波ノイズを生む。一般的には銅などの金属シートで覆い電磁波の干渉を防ぐ。だが、銅シートは100キロヘルツから1メガヘルツのシールド性が弱く、課題となっていた。

今回、100キロヘルツから1メガヘルツで高いシールド効果を持つ磁性体を選定し2層構造のシートにした。電磁界シミュレーションなどで効果の高い磁性体を探ったほか、最適なシートの厚さ比率を導き出した。一般的な銅シートと同じ厚さ0・08ミリメートルで、銅部分が同0・07ミリメートル、磁性体が同0・018ミリメートルとなっている。

2層シートは同じ厚さの銅シートより約3000倍のシールド効果があることを実験で確認した。

また、実際にケースを作り電磁波ノイズ源を覆って最大の漏れを検知したところ、200キロヘルツで銅単体のケースより最大で約100倍のシールド効果になったという。

橋本所長によると、電磁界シミュレーションを使い市販の磁性体でシールド効果の高い材料を探すことと、2層の厚さ比率のバランスを導き出すことに苦労したという。

多くの電子機器を狭いスペースに搭載する自動車関連で特に有効な技術としている。

日刊工業新聞2020年4月9日

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