ペッパーにIT業界の未来託す…ソフトバンクの学校支援

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中学校の生徒は、簡単なゲームを楽しみながらペッパーを動かす仕組みを学んだ

人型ロボット「pepper(ペッパー)」の白いボディーは未来を連想させ、大きな瞳には愛嬌(あいきょう)がある。2014年、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が発売を発表すると大きな話題となった。今、学校で活躍するペッパーが増えている。

ある小学校では先生が「図書室の本の貸し出しを増やすには」と課題を出すと、子どもたちが「ペッパーにお薦めの本を紹介してもらおう」と言いだし、プログラミングをする。また、ある中学校では生徒が高速道路のパーキングエリアにペッパーを置き、中国人観光客に立ち寄った理由をたずねる。ペッパーが集めた回答を分析し、さらに観光客を増やすアイデアを練る。

どちらも学校の授業にペッパーを活用した例だ。20年度からのプログラミング教育の必須化が迫った17年度、ソフトバンクグループは学校を支援しようとペッパーの活用の提案を始めた。累計850校でペッパーが使われた。

【試行錯誤を体験】

国語や算数など教科別にペッパーの活用例を示した先生向けの参考書も用意した。一部の先進的な学校だけでなく、全国どこの学校にも利用してもらえるようにするためだ。

他社もプログラミング教材を開発している。ソフトバンクグループCSRグループの安東幸治ディレクターは「ペッパーはしゃべらすことも、動かすことも、コミュニケーションもできる」と特徴を語る。使い方が限定されたプログラミング教材と違い、ペッパーなら臨機応変な活用が可能だ。

例えば「図書館の利用を増やす」といった身近な課題を題材に、子どもたちが解決に挑戦できるのもペッパーならでは。「問題を発見し、解決する試行錯誤の体験が楽しいはずだ。社会に出ても役立つ」(安東ディレクター)は期待する。

プログラミングの難しさを乗り越え、授業に興味を持つようになった(小学校の授業)

CSRグループの門脇哲太郎さんも「喜ぶ子どもの反応を見て、先生も自信になっている。プログラミングに精通しなくても、子どもたちと伴走しようと割り切る先生たちがいる」と教育現場の変化を感じ取る。

【“生きた教材”】

日本には深刻なIT人材不足が迫っている。「我々だけですべてのビジネスができるわけではない。連携する企業にも人材がいないと困る」(安東ディレクター)と語るように、人材難はITビジネスの基盤を揺るがす。

ペッパーを“生きた教材”にした学校教育への貢献には、IT業界を志す人材を育成し、ビジネスを持続可能にする目的もある。ペッパーにIT業界の未来が託された。

日刊工業新聞2020年4月10日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

ペッパーが意外な場所で活躍しているいうのが、最初の感想でした。店頭や企業の受付にいるペッパーばかり見慣れていたので。またプログラミング教育は、ブロックを組み立てて動かす教材という先入観もありました。やや難しいのですが、プログラミング的思考を育むことが必須化の狙いということです。再開した学校ではプログラミング教育が始まってのでしょうか?10日「SDGs面」から

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