【新型コロナ】リーマン・ショック以来の低水準…粗鋼生産に大打撃
経済産業省は9日、4―6月期の国内粗鋼生産量が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、前年同期比25・9%減の1935万5000トンになる見通しだと発表した。四半期ベースで2000万トンを割り込むのは、2008年のリーマン・ショック後の09年4―6月の1909万トン以来。4―6月期の鋼材需要は、同18・1%減の1828万トンの見通し。
3月上旬の調査に基づくため、感染拡大の影響は一部しか織り込めていない。集計途中の1―3月期の粗鋼生産量は同5・5%減の2358万8000トンだったと推計。これを受けて19年度の年間粗鋼生産量は前年度比4・8%減の9790万3000トンとし、3年連続で前年を下回る。1億トン割れは09年度の9644万8000トン以来10年ぶり。米中貿易摩擦による需要減速などが下押し要因だ。
4―6月期の鋼材需要見通し1828万トンの内訳は、内需が前年同期比16・6%減の1288万トン、輸出が同21・4%減の540万トン。新型コロナの影響は国内外で自動車の操業停止などをもたらし普通鋼鋼材よりも特殊鋼鋼材が大きく落ち込みそうだ。内需は台風19号の復旧需要が見込まれる一方、製造業のサプライチェーン(供給網)停滞による需要減が響くとみている。
日刊工業新聞2020年4月10日