先端材料の開発狙え、物材機構が「量子マテリアル」研究に重点

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物質・材料研究機構は量子状態の精密制御で機能を発現する物質や材料を取り扱う「量子マテリアル」分野の研究体制を構築する。2020年度の重点施策の一つとして取り組む。同分野の研究テーマを機構内から公募し、7テーマを選定。材料科学に関する人材や技術、ノウハウを集め、革新的な機能を持つ先端材料の開発を狙う。理化学研究所や東京大学など国内研究機関との連携も模索する。同事業に2億円を充てる。

物材機構の内部で、情報が完全に守られる量子情報通信に必要な「量子ドットもつれ光源」や、量子現象を利用した磁気記録材料の開発など7テーマを選んだ。テーマはチーム型4件と個人型3件で、計40人の定年制職員が参画する。チーム型では1チーム当たり平均9人の定年制職員が参加する。さらに理論と実験の研究者の協力体制を構築する。

量子マテリアルの開発で、IoT(モノのインターネット)社会を支える超高速演算素子や省エネルギー社会を支える超高効率熱電素子、量子コンピューターや次世代量子情報通信などの基盤技術の開発が進むと期待される。橋本和仁物材機構理事長は「量子マテリアルの核を作りたい」と意気込む。

物材機構は、磁性・スピントロニクス材料研究拠点や統合型材料開発・情報基盤部門(MaDIS)などの複数の研究開発拠点を持つ。こうした組織内の人材を活用し、量子マテリアル開発を先導する理論や材料データプラットフォーム(基盤)を活用した材料設計、ナノサイズの制御・創製技術、多様な計測や分析が可能な先端材料解析装置などを組み合わせ、先端的材料の開発を目指す。

政府は1月、量子技術の研究開発などの方針を示す「量子技術イノベーション戦略」を策定した。物材機構は主要技術領域である量子マテリアルの研究開発を進める。

日刊工業新聞2020年4月6日

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