廃棄服をもう一度原料に?丸紅が出資するアパレルリサイクル戦略

  • 0
  • 0
綿・ポリエステル製品を繊維原料に再生

短いサイクルで流行の衣料を大量販売するファストファッションは、高品質で安価な製品を普及させるなど、アパレル市場を大きく変えた。一方で、アパレル製品の大量廃棄も生まれ、これが社会課題になりつつある。丸紅は昨夏、綿やポリエステルを繊維原料にリサイクルする技術を持つ米国タイトン・バイオサイエンス(タイトン)に出資した。狙いについて大平裕一執行役員ライフスタイル本部長に聞いた。

―繊維業界の変化にどのように対応してきましたか。
「1985年のプラザ合意以降、コスト競争や為替への対応などから生産地をアジアに求める動きが続いた。2000年代に入ると、ファストファッションをはじめ、製造直販型小売業(SPA)が台頭し、大量生産・大量消費のトレンドが強まった。グローバルでの企画力・販売力を持たせるため、17年にトルコと英国に拠点を置くサイデ・テキスタイル(サイデ)に出資した」

―サイデの特徴はどういった所ですか。
「企画、デザイン、製造、納入までを短納期で対応できることが強みだ。サイデと丸紅の生産機能を掛け合わせることで、これまでの欧米に加え、アジアにも販路を広げるのが狙いだ」

―そうした中、タイトンに着目した理由は。
「世界のファッション市場は約150兆円規模とされ、今後も中間層の増加で成長が期待できる。使用する素材では綿、ポリエステルが80%以上を占めているとされており、タイトンがターゲットとする市場は大きい。一方で、アパレルの大量廃棄など、環境問題に対する消費者の関心は高まっている。タイトンの技術を通じ、差別化したいSPA、アパレルメーカーなどのニーズにも対応できるはずだ」

―タイトンのリサイクル技術のポイントは。
「化学品の使用を抑え、加水分解による手法を取り入れており、環境への負荷を軽減している。使用する水も70%程度は繰り返しの使用が可能だ。従来、ポリエステルのリサイクルはあったが、綿を再生することは難しいとされていた」

―どのように事業化を進めますか。
「SPAなど、大手アパレルブランドと組み、21年には販売をスタートさせたい」

【チェックポイント/欧・アジアへ事業展開カギ】

タイトンは2011年の設立で、米国バージニア州に本社を置く。丸紅のグローバルなネットワークを活用しながら、繊維工場で生じた端材や消費者が着用した古着を活用し、タイトンで原料に再生する。この仕組みを回していくことで、持続的なサーキュラーエコノミー(循環型経済)の構築に挑む。リサイクルが本格化してくれば、欧州やアジアなど、他のエリアでどのように事業を展開していくかもポイントになりそうだ。

(浅海宏規)
丸紅執行役員・大平裕一氏

日刊工業新聞2020年3月31日

関連する記事はこちら

特集