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【新型コロナ】臨時休校で引き合い強まるデジタル教材

家庭学習向けに需要拡大
【新型コロナ】臨時休校で引き合い強まるデジタル教材

生徒のタブレット(写真左)には問題が、教員のタブレット(同右)には解答状況などが表示される

新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした臨時休校をきっかけに、印刷大手が提供する教育サービスへの引き合いが強くなっている。教育現場でタブレット端末を活用して生徒の習熟度や教員の働き方改革を図るサービスが、家庭学習にも応用できると自治体や学校から期待されている。(国広伽奈子)

教育現場では、デジタル教材やテストの解答データを活用して、児童・生徒一人ひとりに合った指導をし、同時に教員の負荷を軽減するニーズがある。凸版印刷はタブレット端末を活用した小学生向けのデジタル教材「やるKey」を2015年から提供している。新型コロナの拡大を受けて、国内の自治体や海外のインターナショナルスクールから新規利用の問い合わせが増えているという。

やるKeyは、生徒がタブレットを使って教科書の内容に沿った演習問題に取り組むと解答が自動採点され、間違いの傾向に合った問題が自動配信。教員は進行状況や誤答の傾向を把握できるため、生徒のフォローや理解度に合わせた授業構成の検討に役立つ。

当初から家庭学習での活用も見込んでいたが、今までは学校内での利用が多かった。現在は休校中のアクセス数が増えており、導入済みの学校からは家庭学習の方法や利用時の注意点の問い合わせが増えているという。

凸版によると、スマートフォン用アプリケーション(応用ソフト)を活用した幼児向け教材も検索数が2倍に増加。新型コロナの影響で閉鎖する保育園や幼稚園もある中で、在宅での幼児教育に対する関心も高まっているとしている。

大日本印刷は2020年度から本格展開するクラウド型の学習支援プラットフォーム(基盤)「リアテンダント」について、導入済みの自治体に対して自宅学習の履歴を集計・提供する対応を始めた。同基盤で提供している教材の利用状況を教員が把握でき、学校再開後の授業に役立つ。

リアテンダントでは、例えば用紙形式のテストの結果をデータ化して人工知能(AI)で分析、生徒に合わせて最適な教材や、教員の指導に役立つ情報を提供できる。生徒1人につき1台のタブレットを導入できない場合でも、採点時間の短縮や出欠データの集計といった教員の業務負荷軽減のニーズに応えられる。

千葉県南房総市や奈良市などがリアテンダントを通じて家庭学習のコンテンツ活用を開始。大日印は他の自治体についても対応を進めている。緊急事態への対応という観点からも教育現場でのデジタル活用の重要性が高まっている。

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