新型コロナ、ヤフー、日立、IHI、クボタ...子連れ出勤・特別休でしのぐ企業
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため政府が全国の小中高校に臨時休校を要請したことを受け、企業が対応に追われている。子連れでの出勤や特別の休暇を認めたり、スタッフ同士が協力し合えるよう支援したりするなど様々だ。
【オフィス開放】
ヤフーは小学生の子どもがいて預け先がなく、在宅勤務ができない職種の社員を対象に20日まで子連れ出勤を認めた。
パソナグループも子どもが幼いなど在宅勤務が難しい社員にはオフィスを開放し、子連れ出勤を認めたほか、「新・向こう三軒両隣制度」の取り組みをスタートさせた。1人が他のスタッフの子どもを預かり、その1人の仕事を預けたメンバーが分担するなど、互いにサポートするネットワーク構築を支援する。同グループがこうした取り組みを行うのは初めて。
日立製作所は小中高・特別支援学校生の子どもを持つ全ての従業員約1万人について31日まで在宅勤務を認めた。三菱UFJ銀行は部店長が自宅待機を命じる制度を導入。出勤扱いにして給与を支払う。有給を消化した行員や、パソコンを支給されず在宅勤務ができない行員らが対象に含まれる。
【現場の判断】
IHIは休校の要請に伴い、フレックスタイムや在宅勤務を現場上司の判断でできるようにした。従来は所定の申請手続きが必要だったのを柔軟化する。
JXTGエネルギーは小中高校生の子どもがいる社員を対象に、有給休暇とは別の特別休暇の取得を認めた。テレワークに向かない業務を持つ社員が、所属長の許可を得て取得できる。子どもの授業があるはずだった3月中の期間が対象。
クボタも、子どもの面倒を見る必要がある場合、年次有給休暇以外の特別休暇(慶弔などの際に利用できる休暇)を取得できるよう通達した。全事業所の約1万2000人の従業員らが対象。期間は休校の指示が解除されるまで(春休みを除く)。
日本生命保険は子どもの休校・休園などで出勤できない社員を対象に特別休暇を付与した。期間は状況を注視しながら適宜検討する。明治安田生命保険は小学6年生までの子どもと孫を持つ社員に防疫休暇を付与している。
【教材を無償提供】
一方、子どもが家にいるため、自宅での学習を支援する動きなども出ている。ベネッセコーポレーションは2日、小中高生向けに「春の総復習ドリル」を学年ごとに無償提供を始めた。また出版社や映像提供会社と協力して、約1000冊の書籍および動画を無料で閲覧できるようにした。
NTTコミュニケーションズは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて休校となる学校に対し、デジタル教材活用基盤「まなびポケット」で使えるオンライン教材を5月31日まで無償提供する。インターネットを通じて自宅のパソコンやタブレット端末で授業の録画映像を視聴可能。オンライン教材を用いた学習もできる。
ほかにも、ユカイ工学(東京都新宿区)が手がけるコミュニケーションロボット「ボッコ」への関心が高まっている。玄関やトイレの人感センサーや振動センサーと組み合わせて、離れた場所にいる親が「今、帰宅したな」などと子どもの状況を確認できる。
親は急に「休校だ」と言われても、簡単に対応できないのが実情だ。「子どもの見守りに活用できるのではないかとの問い合わせや、ユーザーの書き込みが日を追って増えている」(同社)という。