新型コロナと力士のお弁当
新型コロナウイルス感染症拡大の影響はスポーツ界にも及ぶ。各競技は軒並み、中止や延期に追い込まれている。22日に千秋楽を迎える大相撲春場所も無観客開催だ。年1回の大阪場所を楽しみにしていた好角家は肩を落としている。
広い体育館の中央に設置した土俵の周囲はガランとしたまま。テレビ中継では客のいない升席がやけに目立つ。その春場所で日本相撲協会によるユニークな取り組みがちょっとした注目を集めている。
新型コロナ対策で力士は会場入り後は外出禁止。出前や差し入れも禁止になったため、力士は弁当を持参しており、その弁当が日本相撲協会の公式ツイッターで連日紹介されている。シェフ顔負けのお手製弁当の評判はネットでも上々だ。
もともと大相撲は部屋ごとに独自のちゃんこ鍋があり、力士には料理の腕利きが多い。そこに着目した協会が連日“ファンサービス”に努めている。普段は観客が通る会場内で、大きな弁当箱を開ける力士の姿にニヤリとさせられる。
力士に新型コロナ感染者が出ると即中止となるだけに、何とか無事に勤め上げてもらいたい。そして次の場所こそ、満員御礼の垂れ幕の下、奮闘する力士を心ゆくまで応援したい。
日刊工業新聞2020年3月18日