日東工器、コロナの影響で危惧される町工場を支援へ
日東工器は新型コロナウイルスの感染拡大で経営悪化が危惧される「町工場」を支援するため、取引拡大や共同研究などの支援を開始する。このほど取引金融機関である城南信用金庫(東京都品川区)と、東京都大田区、同品川区を中心とした地域の金属加工業への発注拡大や、技術・販売協力についての検討を始めた。新型コロナ騒動で売り上げ減少が懸念される地元の中小・零細企業を支援するとともに、国内サプライチェーンの強化につなげる。
日東工器が本社を置く大田区は、「町工場」と呼ばれる約3000社の中小製造業が立地する。町工場は大企業の下請けとして金属加工や樹脂加工を手がけるが、2019年秋からの景況悪化や経営者の高齢化で廃業が増えている。そこに新型コロナが影響する景況悪化で大企業の研究開発費が減少すると、町工場への試作品発注も減るとみられ、さらなるダメージは免れない。
そこで同社は地域貢献の一環として、地元企業との取引拡大を決めた。同社は主にタイと国内で生産を行っている。国内取引先の増加は同社にとってもサプライチェーン強化のメリットがある。
同社の主力製品は「カプラ」と言われる金属製の流体継ぎ手。そのため取引先としては旋削加工や切削加工、表面処理加工などの技術を持つ町工場が中心になる。同社と城南信用金庫は、これらの技術を持つ町工場と日東工器の取引拡大のため、近日中に面談会を開催する。
そのほか、同社と町工場による共同開発や同社が保有する休眠知財の提供も実施。全国6000社の販路を活用し、町工場自身の製品拡販にも協力する。
日刊工業新聞3月18日