iPhoneショックで株価急落のジャパンディスプレイ、不安払拭へ奔走
ジャパンディスプレイ(JDI)が、株式市場などに広がった経営再建への不安払拭(ふっしょく)に奔走している。優先株式などを引き受け予定の独立系ファンド、いちごアセットグループと緊急記者会見を13日に開き、あらためて同社の支援姿勢を明確にした。新型コロナウイルス感染症の拡大による最大顧客の米アップルの業績下振れなどを受けてJDIの株価が急落し、いちごアセットの離脱懸念が市場で高まっていた。
JDIの株価は先週に一時40円を割り込んだ。1月31日にいちごアセットグループのいちごトラストと最大1008億円の資金調達で合意し、割り当てる優先株式の転換価額は50円に設定していた。主要顧客の業績悪化や資金繰りへの心配からJDIの株価がその転換価額を大きく下回り、株式市場では同社への経営不安が再燃していた。
JDIの菊岡稔社長といちごアセットマネジメントのスコット・キャロン社長が13日のウェブ記者会見に顔をそろえることで、市場の懸念払拭をアピール。キャロン社長は「従来通り今月末に504億円を払い込んで、JDIの再建ができる。25日の臨時株主総会を延期すると、JDIの再建計画が狂ってしまう」と強調した。16日の終値は40円となり、一定の効果はあったもようだ。
また、新型コロナによりアップルの業績下振れをはじめ事業環境の不透明感は増している。同社が今春計画していたスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新製品発売が延期されるとのうわさは根強い。JDIにとって資金繰り悪化への不安もゼロではないため、今回いちごトラストからの資金調達額を当初比100億円増の最大1108億円に増やす。菊岡社長は「新型コロナの影響は足元でもそれなりに出ており、今後どうなろうと事業再生を行う上で必要な資金を保守的に考えながら、いちごと協議した結果だ」と説明した。
JDIは臨時株主総会翌日の26日に、いちごトラストに対して優先株式などを発行し、まず504億円を調達する。同時に政府系ファンドのINCJ(旧産業革新機構)の追加支援も受け、債務超過を解消する算段だ。その後は6月下旬の定時株主総会で、13日にいちごトラストと基本合意した追加の資金調達を諮る方針だ。