MSとオカムラが「ワークログ」活用で連携、オフィス家具にセンサー
日本マイクロソフトがITを活用した企業の新サービス創出を支援している。2月上旬にオフィス家具を手がけるオカムラ(横浜市西区)と連携。オフィス内の家具にセンサーを設置してデータを収集・分析、働く人の生産性が向上する空間作りを始めた。同サービスはマイクロソフトのパブリッククラウド「アジュール」に構築。アジュール上のIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)ソリューションを最大限活用する。
オカムラは働く人や家具の位置情報、使用状況、温度・湿度などの環境情報をセンシングし、オフィスを「見える化」するサービスの開発に着手した。
データ化によりオフィスの稼働率や占有率、ヒートマップが判明。そこから動線分析などを行い、働く人が利用しやすい空間を導き出す。まずは2020年中に同社の会員制コワーキングスペースで実証し、21年からのサービス提供を目指す。「これまではモノを売って終わるビジネスだったが、今後はソリューション企業になる」(荒川和巳上席執行役員マーケティング本部長)との狙いだ。
働き方改革により生産性向上は、特定の業界ではなく社会全体でのテーマになった。自席がなくフリーアドレス化したオフィスも増えてきた。日本マイクロソフトとオカムラは、どの場所で働いたかという「ワークログ」を集め、事業の創出に役立てる。
日本マイクロソフトも「今まで取ったことがないデータを取って活用する。エッジ(ネットワーク末端)やAIの要素を取り込むことがイノベーションを生む」(菖蒲谷雄業務執行役員IoTデバイス本部長)と認識。今後もITを実空間のデータと掛け合わせ、ソリューションを提供する動きが期待される。
(取材・川口拓洋)
日刊工業新聞2020年3月11日