【新型コロナ】イベント中継もできる、機能充実ウェブ会議が人気急上昇
新型コロナウイルス感染症の拡大で在宅勤務を導入する企業が増える中、IT各社がウェブ会議サービスを強化している。2月にテレワーク相談窓口を設置したブイキューブはウェブ会議サービスの問い合わせ件数が前年同月比10倍となり、関連サービスを相次ぎ強化。シスコシステムズは90日間利用できる無償支援プログラムを始めるなど、積極的な導入支援策を打ち出した。(取材=編集委員・水嶋真人)
【データを共有】
ブイキューブは、ウェブ会議サービス「ブイキューブ・ミーティング」とNTTテクノクロス(東京都港区)のリモートアクセスサービス「マジックコネクト」を組み合わせてテレワーク先から社内の基幹システムに安全に接続し、社内データを共有しながらウェブ会議を実現できるサービスの提供を始めた。
新型コロナの影響で開催が危ぶまれるイベントやセミナーをオンラインで開催するライブ配信サービスも強化した。イベント会場からのライブ中継に加え、東京都渋谷区と大阪市中央区にあるスタジオからのライブ配信も可能。配信機材やスタッフの手配も手がける。
参加者は専用ウェブサイトのアドレスをクリックするだけで視聴できる。料金は、約2時間のウェブセミナーの100端末への配信とスタッフ2人による支援、専用スタジオの利用で約30万円。
ブイキューブは2019年に2500回以上のライブ配信を手がけた実績がある。現在は新型コロナ対策で人の密集を極力避ける必要があり、会社説明会や株主総会、企業研修などのオンライン開催需要も見込む。教育機関など非営利団体に対し、5月末まで「ブイキューブ・ミーティング」の無償提供も始めた。
【90日無償支援】
シスコシステムズは国内企業向けにウェブ会議サービス「シスコ・ウェブエックス・ミーティングス」を90日間ユーザー数無制限で利用できる無償支援プログラムを始めた。開催回数や時間制限はなく、1会議当たり最大1000人が参加可能。会議録画や資料共有機能もある。
ジャパンメディアシステムはウェブ会議システム「ライブオン」と、勤務先など遠隔地のパソコンを、自宅など手元のパソコンで遠隔操作できるリモートアクセスサービス「リモートオン」を用いた在宅勤務導入支援サービスを強化した。
【中小支援カギ】
シード・プランニング(東京都文京区)がまとめた、ウェブ会議などビデオコミュニケーションの19年の国内市場規模は、前年比0・7%増の507億円の見込み。総務省によると、18年の国内企業のテレワーク導入率は19・1%だった。社員数2000人以上の企業で46・6%に達した一方、300人未満の企業では14・5%にとどまる。
新型コロナウイルスの収束時期がまだ見通せない中、中小企業への導入支援策が今後の普及のカギを握ると言える。