簡易宿所にフロント義務付け、京都市の規制強化が商機になる

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メーン料理「京都肉のサーロインステーキ」を手に店のコンセプトを説明する奥田レ・コネクション社長

京都市は4月、簡易宿所の運営事業者に宿泊施設内または施設外に帳場(フロント)の設置を義務付ける。簡易宿所が急増する中、ゴミの始末や夜間の騒音などをめぐって訪日外国人客(インバウンド)と地元住民との間でトラブルが多発。文化が違う外国人客に迅速な注意喚起が行き渡るよう簡易宿所の適正な運営を促し、質の高い宿泊施設に絞り込んでいく狙いだ。一方で規制強化を商機と見て、新たな事業に乗り出す企業も出てきた。(取材=京都・大原佑美子)

【京町家をリノベ】

不動産、建築事業を主力とし、自社で再生した京町家の一棟貸しなど約50棟の宿泊施設を運営するレ・コネクション(京都市下京区、奥田久雄社長、075・352・8600)は20日、京都市内に「紡(つむぎ)ダイニング」をオープンする。京都肉や地元野菜、漁港直送の魚介を提供するなど素材にこだわり、“つながり”をコンセプトとする京町家をフルリノベーションしたレストラン&バーだ。

【大テーブル配置】

ゲスト同士で自然と会話が生まれるよう、8人が一堂に会せる大テーブルを配置した。2階にはバーラウンジを整備。同一建物内に、施設外玄関帳場を設け、他事業者の施設外玄関帳場の登録も受け付ける。

同社は2020年度内に施設外玄関帳場を10カ所に拡大し、その一部に飲食店やイベントスペースなど人が集える場所を併設する予定だ。「複合施設を街の魅力向上や活性化につなげたい」(奥田社長)。条例の厳格化を逆手に取った業容の拡大などで、宿泊・飲食事業の売上高を21年3月期に現状比倍増の約4億円を目指す。

京都市によると、市内の簡易宿所の施設数(1月末時点速報値)は14年の460施設から18年には2990施設へと急増、総客室数は4倍強に膨らんだ。ゴミや騒音問題に加え、外国人宿泊客が簡易宿所内の家電の使い方がわからず、近隣住民に尋ねるなど、宿泊客にとっても課題が多く、市は規制強化に踏み切った。

【代行サービス】

宿泊施設の運営支援などを行うイザン(京都市中京区)は、施設外玄関帳場代行サービス「なびすけ」を展開するなど商機も生まれている。

特定観光地に旅行客が集中するオーバーツーリズムがかねて問題視されてきた京都。新型コロナウイルス感染症の拡散でインバウンド需要が激減し、くしくも調整局面にある。レ・コネクションの奥田社長は「(感染拡大前の)インバウンドが多い時には近隣住民から苦情が出ていた。観光客と地元住民が食を通じて相互理解を深める場になれば」と前向きに捉えている。

日刊工業新聞2020年3月12日

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