PSSが遺伝子検査装置を新型コロナ検出に対応、日本で認可取得へ
まず欧州で販売
プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)は、遺伝子検査装置を新型コロナウイルス検出装置として拡販する。同装置の高い汎用性を活用するもので、欧州市場の現地販売代理店を通して自社ブランド製品として販売を始めた。日本では早期に医療機器としての認可取得を目指し、販売を開始する計画だ。
検体からのデオキシリボ核酸(DNA)抽出から検出までを一貫して自動化できる。検体に磁性体を付着させ、試薬が入ったカートリッジ間の移動などを磁石で制御する自社技術で実現。人手を介さないため、検査員の安全を確保できる。人為的ミスを防ぎ、検出精度の向上につながる。
DNAポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で検出し、同装置1台で2時間に8サンプルを処理できる。また、パソコン1台で同装置6台を制御可能。そのため同装置6台を24時間稼働した場合、576サンプルを処理できる。消費税抜きの価格は約500万円。
今後は研究機関や企業とタイアップし、試薬などの開発と改良を進める。現在、試薬カートリッジはマイナス20度Cで保管する必要があるが、将来は室内での常温保管を可能にする。また、半年から1年間の使用期限を2年間に伸ばすなどスペックを向上させる計画だ。
PSSの2019年6月期の連結売上高は前期比20・3%増の43億円、海外売上高比率は約80%。日本で医療機器としての認可取得後は営業活動を本格化し、空港や港湾、保健所、病院などへの導入を進める。事業をグローバル展開することで、早期に売上高100億円、営業利益10億円(19年6月期は1億6300万円)を目指す。
日刊工業新聞2020年3月10日