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ルンバは家中のマップをつくることで何を実現するか

アソシエイトプロダクトマネージャー、アイリーン・リー氏インタビュー

アイロボットジャパン(東京都千代田区)はロボット掃除機「ルンバ」の最新機種「s9+」を発売した。従来の丸型から、壁際を掃除しやすいD型に形を大きく変え、3Dセンサー搭載の最上位モデルだ。開発の中心メンバーで来日した米アイロボットのアソシエイトプロダクトマネージャー、アイリーン・リー氏に日本市場の展望を聞いた。

―「s9+」は初のD型です。
「先に販売した国からはポジティブな反応が多い。また、丸型なら狭い場所に入るとその場で回転して脱出したが、D型ではそれができないため、少しずつバックしながら回転する。そういう細かいことに気づいたという声もあった」

―米国でのアイロボット製品の普及率は11%ですが、日本は6・3%です。
「掃除は世界共通だが、国や文化が異なれば需要も異なる。アイロボットは国ごとに商品内容を変えないが、消費者へのアプローチは変える。アイロボットジャパンの例ではサブスクリプション(定額制)サービスがある。米市場は巨大だが、他の国の顧客の声に耳を傾けないわけではない。日本市場は十分に伸びしろがある。アイロボットジャパンが目標とする『2023年に日本での普及率10%』を達成することを楽しみにしている」

―日本でのルンバをとりまく状況はどう変わりましたか。
「02年にルンバを発表した時は、期待値が低く『きれいになればいい』というくらいだった。しかしだんだんとそれが高まり、『希望の場所を希望のやり方、希望のタイミングで掃除してほしい』という要求に代わった。今のルンバはアプリケーション(応用ソフト)で掃除してほしい部屋の指定や予約を指示できる。日本ではルンバがただの機械ではなく、家族の一員と考える人が多いのも特徴だ」

【関連記事】なかなか普及しないロボット掃除機「2つのハードル」とは

―スマートホームに向けてルンバをハブにする構想があります。br> 「今、スマートホームが面白い領域だ。ルンバはその中心になりえる。他のスマートホームデバイスにはない能力がルンバの空間認識機能だ。スマートスピーカーの『グーグルホーム』や『アレクサ』との連携もある。例えば音声アシスタントに『キッチンを掃除して』と指示するだけでルンバが掃除してくれる。ただ、すべてを自社でやろうとは考えていない。床掃除のほか、(ドイツなどで販売した)芝刈りロボット『テラ』などを中心にやっていく。得意なところや強みを強化することで、広範囲をカバーしていける」

―その強みとは。
「現在、家全体の間取りを把握するマッピング機能を持つデバイスはほかにない。このデータを他のIoT(モノのインターネット)機器と連携すれば、多くのことができる」

日刊工業新聞2020年3月6日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
まだマップを使って具体的にどのようなことが実現できるかは見えていませんが、スマートホーム化については2020年中にサービスを整えたいという考えのようです。

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