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不明点多かった触覚と末梢神経の仕組み、ネズミのひげ使い実験成功

大阪大学大学院歯学研究科の古田貴寛講師らは、米ノースウェスタン大学と共同で、触覚情報が末梢(まっしょう)神経の活動に変換するとき、刺激を受け取る器官である神経終末受容器の役割分担を解明した。従来、実験が難しく不明点が多かった触覚と末梢神経の仕組みを、ネズミのひげを使い実験に成功した。感覚と運動の統合という脳の高次元機能の研究も前進する。効率のよい感覚取得など、アクティブセンシングの発展の可能性がある。

研究グループは、ネズミのひげが、周囲に触れることで暗闇でも障害物を避けられるなど優れた触覚センサーである点に注目した。ひげの根元には刺激を入力情報として神経活動へ変換する器官として、末梢神経の終末受容器が並んでいる。ひげを押す実験で末梢神経の反応特性と、4種類の終末受容器との関係性を調べた。

4種類の終末受容器のうち、毛を産生する毛包の中央部分にある「メルケル終末」だけは、ひげに刺激を受けている間、持続的に活動し、刺激を受ける方向によって反応の大きさが変わった。他の3種類は刺激の始めと終わりだけ活動し、刺激の強さが影響した。

日刊工業新聞2020年1月31日

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