2メートル級自動車バンパー、3Dプリンターで一体造形に成功
リコーとエス.ラボ(京都市伏見区、柚山精一社長、075・634・9577)は、大型3Dプリンターで2メートルサイズの自動車樹脂部品の一体造形に成功した。分割して製作すると接着面などが亀裂や破壊の起点になる。実用材のポリプロピレン(PP)で作製したたため、最終製品として使えると見込んでいる。今後、耐候性や破壊試験など耐久性を評価する。受託造形や装置販売につなげる。
エス.ラボが開発した樹脂ペレットを溶かして積層する大型3Dプリンターで、横幅180センチ×高さ80センチ×奥行き60センチメートルの自動車バンパーをリコーが造形した。主材はPPで、靱性を増す添加材などを配合した。造形中に構造を支持するサポート材として簡単に除去できる材料を開発した。大型部品であっても1―2時間で取り除ける。サポート材の除去作業は手のひらサイズであっても、複雑なものは3時間かかっていた。バンパーは2日と半日で製作できた。
押し出し成形機と同様の樹脂溶融供給機構を用いているため、市販のペレット材で高速造形できる。一体造形であるため接着などの継ぎ目が破壊の起点にならない。バンパーなどの大型部品は金型を保存しておくことにもコストがかかる。3Dプリンターで一品から製造できると、部品供給が終わった車種にも対応しやすくなる。3Dプリンターの販売や受託製造の体制を整えて事業化を進める。
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日刊工業新聞2020年3月4日