アパレル副資材メーカー、RFID技術で製造業を狙う
コバオリ(京都市北区、小林慎吾社長、075・451・5191)は、アパレル業界向けで培った無線識別(RFID)技術を応用し、製造業や物流業界の業務効率化を支援するソリューション事業に参入する。すでに大手の金属加工工場や鉄道企業の車両整備の工程管理などで実証実験を始めた。非アパレル業界向けのサービスを拡充し、既存のICタグ販売などを含むRFID事業の売上高比率を2023年6月までに2倍以上の15%に引き上げる。
製造業向けには、工程管理用にICタグの利用を提案する。従来手書きで記入していた伝票などにシール状のタグを貼り付け、端末で読み取るだけで製品の所在、数、時間などの履歴を管理できる。作業者にタグを付けることも可能。物流業向けにはアパレル物流向けで培った知見を応用、作業精度の向上や省力化につなげる。
タグの価格は発注ロットや仕様などによって違うが、1万枚の注文で、1枚当たり10円で販売する。ICタグや読み取り端末の提供から管理システムの構築まで、コバオリが一貫して提供できる。同社の岸本和也営業本部開発推進部次長は「ICタグを情報の中継としてのみ使うのではなく、蓄積したデータを顧客の業績改善に役立てられれば」という。
同社は織ネームや品質表示ラベルといったアパレル副資材メーカー。アパレルパーツを作る技術を応用し、07年にICタグ事業に参入。大手アパレルメーカー商品の物流管理向けに、紙製やシール状のICタグを供給している。アパレル向けで培ったICタグの量産技術で、コスト競争力のあるICタグの供給が可能になった。人手不足によって省力化が課題となっている中小製造業や物流企業の現場に応用する。
日刊工業新聞2020年3月2日