東芝機械が敵対的TOBの期間中に社長交代、なぜ?
新社長は中計策定の責任者「本人に完遂させる」
東芝機械は21日付で三上高弘社長(60)が退任し、坂元繁友副社長(61)が社長に昇格した。三上氏は代表権のない取締役に退く。飯村幸生会長兼最高経営責任者(CEO、63)は留任する。飯村会長兼CEOは日刊工業新聞社の取材に応じ「2月上旬に公表した新中期経営計画をやり遂げるための人事」と交代理由を明かした。旧村上ファンド系の投資会社グループによる敵対的TOB(株式公開買い付け)に「今回の人事は全く関係していない」と続け、結果として同TOBを招いた引責辞任であることは否定した。
飯村会長兼CEOによると、坂元氏は新中計策定の責任者。同中計は株主価値・企業価値の向上などを狙い財務戦略、会社の立て付けを刷新する計画であり「従来の延長線上の中計ではなく、会社の“解体”を狙った」と意欲的なものだ。そのため「策定した本人に完遂させることが最善だ」と背景を打ち明けた。
とは言え、坂元氏は旧村上ファンド系との交渉責任者でもあり、社長に据えることで今回の難局を乗り越える狙いもあるようだ。
【略歴】坂元繁友氏(さかもと・しげとも)83年(昭58)明治大工卒、同年東芝機械入社。09年取締役、19年副社長。東京都出身。<関連記事>
●世界2位の超硬切削工具メーカーが日本市場に切り込む
●DMG森精機とニコンが金属積層・計測で提携、狙いは何だ!?
日刊工業新聞2020年2月21日