オランダ発「仕事内容に応じて適した場所を選べる」働き方は日本で定着するか

中小企業でも導入の動き

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写真はイメージ

【千葉】アイ・メデックス(千葉市花見川区、市田誠社長、043・257・7411)は、オランダで始まった働き方「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」を導入する。業務内容に合わせて場所と時間に制約されずに働けるようにする。その一環でテレワークの導入を試験的に始めたほか、ABWの概念に基づきオフィスを刷新していく。子育て世代の女性従業員が働きやすく、創造性を高める環境を整え、企業全体の生産性を向上させる。

アイ・メデックスの従業員数は80人。この内、90%が子育てをしながら働いている女性だ。そのため女性管理職が中心となり、子どもの突然の病気や学校の行事などの際、休暇を取得しやすい職場づくりを進めてきた。この取り組みを加速させるため、子育て世代の女性従業員を対象にテレワークを試験導入した。

また、同社の主力製品である生体電極が、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)に必要なビッグデータ(大量データ)を取得するセンサーとして注目されている。医療以外にもスポーツや農業など、さまざま分野でセンシング技術の応用が期待されることから、テレワークを技術者にも拡大する。

こうした狙いについて市田社長は「現場に足を運ぶなどニーズを自分の目で確認し、そしてイノベーションを起こせるような技術開発に結び付ける」としている。

日刊工業新聞2020年2月20日

未来のオフィスは「求心力」で進化する

個人の資質だけに頼らず、『外側』からもコミュニケーションは活発化できる。コクヨワークスタイル研究所の若原強所長に、人の交流からイノベーションを助けるオフィスの未来を聞いた。


オフィスに作用する遠心力と求心力


 -会議のような決まった場でなく、休憩場所などでの偶発的なコミュニケーションが見直されています。
 「普段の会話から、誰がどんな仕事をして、何に詳しいかなどを共有しておけば、新プロジェクトを始める時、メンバーをすぐに見つけられる。柔軟性が高く、強い組織になる」

 -オフィスとコミュニケーションの関係は。
 「コミュニケーションを活発にするオフィスの形はある。例えば、コミュニケーションスペースの場所は人の動線に注目して設置する。トイレに行く途中のように、誰もが通る場所は多くの人が集まる。執務場所の机をジグザグに配置すると、歩く距離が延びて会話が生まれやすい」

 -1人で集中して仕事をしたい時もあります。
 「当社は、新オフィスの一部に集中スペースを設け、仕事内容に応じて適した場所を選べる『アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)』を提案している。今の働き方に適している。ABWには広い意味で、自宅やカフェ、コワーキングスペースの利用も含まれる。ワークプレイスは分散していく」

 -人が集まって起きる偶然のコミュニケーションと、ワークプレイスの分散は矛盾しています。未来のオフィスはこれを解決できますか。
 「何もしなければ、オフィスとワーカーの間に『遠心力』が高まって離れていく。だが、『毎週何曜日は出社する』のようにルール化するのは本末転倒だ。未来のオフィスは何らかの形で、『求心力』を持ち、遠心力とバランスを取る必要があるだろう。米グーグルがおいしくて健康的な食事を社員食堂で無料で提供しているのはヒントになる。社員の人生を豊かにする役割などがオフィスに求めれるかもしれない」

コクヨ ワークスタイル研究所・若原強所長(同社オフィスは交流を促すしかけが多い)

小さく早い失敗を後押しする


 -アイデアを生み出し、新しいものを創り出すために、オフィスはどう貢献できますか。
 「異分野から刺激を受けてアイデアを生むにも、アイデアを正しく評価して育てるにも、社内の偉い人や既存事業に偏った視点では十分ではない。特に大企業では、組織の力学からの適切な脱出と、社外との適切な接点が必要だ。他部署や他社の人と気軽に交流して多くの『想定外』を得るために、オフィスに『外へ開かれた場』が求められるのではないか」

 -アイデア創出の点で、ユニークなオフィスの事例はありますか。
 「オンライン決済システムを提供する米スクエアは、社内の一角に地元小売店を誘致している。新サービスの企画が立ち上がると、そこですぐ検証できる。パナソニックは、既存の枠にはまらない家電のアイデア評価を、米国SXSWというイベント内に期間限定で設営したショールームで実施した。感度の高い世界中の有識者に評価してもらえる。小さな失敗を早くたくさん積むことも、オフィスは後押しできる」

 -ワークスタイル研究所では、未発見の働き方を探求しています。コミュニケーションに関係するものもありますか。
 「これまでに、故スティーブ・ジョブズ氏やバラク・オバマ元米大統領などが行った『ウォーキング・ミーティング』を実践した。既定のコースを歩く間に報告を終わらせようと入念に準備するため、ミーティングの生産性を高まった。上司と部下の間の報告ミーティングに有効だ。長時間労働と運動不足に悩まされるビジネスパーソンにお薦めしたい。私は後で数えると10kmも歩いていた」

ウォーキング・ミーティングは長時間労働と運動不足に悩む人にオススメ(同社提供)

さらに進化する働き方・組織を受け止めるオフィスとは?


 -先の将来、複業が増えてくると、企業と個人の関係も変わりそうです。
 「1社に勤めている人の多くは、仕事の状況と照らし合わせながら、結婚や出産、家の購入、退職などの人生の順序を考える。複数の仕事を持つと、自分の人生を中心に考え、仕事の配分を決められるだろう。人生の段階に合わせて仕事を変えたり、複業を前提に会社や組織を組み合わせた『セット就職』も出てくるかもしれない。その時、オフィスのあり方が問われるだけでなく、企業は自社の魅力を丸裸で見られる時代になる」

 -働き方が変わる中、ワークスタイル研究所ではどんなことに挑戦しますか。
 「週休2日が3日に変わったり、定年退職の年齢が変わると、どんな変化が起きるのか。大きな変化を捉えていきたい。また、最近、進化型の組織モデルとして『ティール組織』が話題となっている。上下関係がなく、目的実現のためにそれぞれが主体的に動き、高い成果を上げる。このような組織をオフィスはどう受け止めるのか。提案できるようになりたい」

ニュースイッチ2018年08月08日

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