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「半地下の家族」と「万引き家族」

韓国映画の『パラサイト 半地下の家族』が、アカデミー賞作品賞、監督賞など4賞を受賞した。格差社会が生み出す喜悲劇は、全編韓国語・字幕上映というハンディをはねのけ、白人が多いと言われるアカデミー会員の心を捉えた。

前半は、半地下の劣悪な住環境で暮らす家族が、超高級住宅で暮らす社長一家に入り込んでいく様が、テンポ良く描かれている。まず、一家の子どもの兄が家庭教師として入り込み、その後、妹、父、母が職を得ていく。

感心するのは、家族それぞれが、社長一家に違和感なく雇われるほどにスキルが高いのだ。父は高級車の運転がやすやすとでき、母は上流家庭の家事をすんなりこなしている。映画の中だからと言えなくもないが、スキルはあっても、ひとたび職を失うと、はい上がるのが難しい韓国社会の現状を示しているようにも思えた。

2年前には日本作品の『万引き家族』が、世界で高い評価を得た。格差社会への関心は、それだけ共感を得る世界共通の問題となっている。

パラサイトは後半に悲劇が起こるが、最後は将来に希望を感じさせる。「努力は報われる社会であることを信じたい」というポン・ジュノ監督からのメッセージと受け止めたい。

日刊工業新聞2020年2月13日

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