“カッコイイ”北大へ、最先端技術を多用する「スマート農業」新施設
北海道大学はロボットや大量データ(ビッグデータ)、IoT(モノのインターネット)を多用するスマート農業で、研究・教育の新施設を2022年度に開設する。無人のロボット農機で、作物の病気や害虫の4K画像を撮影し、第5世代通信(5G)で遅延なく送信して人工知能(AI)で分析、ロボット農機で農薬や肥料をまくといったシステム開発を行う。都市部のキャンパス内で農場を管制室から見渡し、日本の最先端技術を海外視察団などに披露するなど、北大の特色ある施設になりそうだ。
北大の札幌キャンパス(札幌市北区)で、トラクター収容の実験棟など老朽化した小ぶりの4棟を20年度から取り壊す。集約する新施設は観光名所のポプラ並木近くで、北方生物圏フィールド科学センターの建物隣で農場の端にある。2階建て延べ床面積3000平方メートルを22年度に完成。同センターと農学部を中心に、工学や情報の研究者も加わって活動する。
北大は5Gを使ったNTTグループとの共同研究のほか、農機や電機、情報の企業と準天頂衛星や気象・地図データなどを使った産学連携を手がけている。研究成果は協定を結ぶ道内の岩見沢市での実証試験を経て、実用化につなげる計画だ。
新たな建物のスペースは従来の合計の約8割だ。少数の研究室しか使わない従来の分散施設に対し、集約時に面積を圧縮して維持管理費を抑制。同時に研究・教育の機能強化と、共同利用や高層収容棚など設備の工夫による効率化を図る。
ロボット農機管制室、他部局・学内外の研究者との交流スペース、視察団など説明会に使う講義室、ロボットキットの学生工作室などを置く。既存施設と同機能の部屋も、一部で使用対価のスペースチャージを徴収する。
日刊工業新聞2020年2月13日