証券大手の株を身近にする中高生向け授業、新聞広告の制作を課す狙い
三菱UFJモルガン・スタンレー証券が学生向けに金融・経済教育を進めている。社員が教壇に立ち、株式や証券市場の役割や機能などを紹介し、学んだ内容を踏まえて新聞広告を制作してもらう。証券会社には資産形成を後押しするために、金融のリテラシー(知見)を若年層に浸透させることが求められる。花岡久美執行役員広報・CSR推進部長に教育の狙いなどを聞いた。(取材=孝志勇輔)
―中高生を対象に教室でのインターンシッププログラム「株の力」に取り組んでいます。
「海外の家庭ではお金(金融)について普段から話すが、日本では話題に上がることが少ない。私たちはインターンの前提で株の力を実施し、参加する中高生には社員の意識で臨んでもらっている」
―株の力で期待している効果は。
「貯蓄から投資に意識を向けてもらい、資産をきちんと作るのは重要だが、起業の意識を喚起することを狙っている。株の力ではチームでビジネスプランを考える時間を設けていて、出てきた内容を生徒同士で評価し合うようにしている。起業への関心を高めることにつなげる」
―学習の成果として新聞広告を作ってもらうのはユニークな手法です。
「広告はできるだけ少ない言葉で伝えたい内容を表現するツールで、生徒たちは侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を通じて制作している。プログラムを通じて感じた株の力を素直に発信してくれている」
―教壇に立つ社員の役割は重要です。
「生徒たちにとって、実際に(金融業界で)働いている社会人から教えてもらう機会は少ないと思う。プログラムに携わる社員を対象に研修を実施するなど、しっかりと準備している。生徒たちに響く言葉をかければ向き合ってくれる」
―株の力へのニーズが今後、高まることが見込まれます。
「首都圏の学校を中心に65校で実施した。社員のリソース(人的資源)も限られているので、丁寧に取り組んでいく。大学でも展開しており、これまでに6校で行った。社会的な課題の解決に役立つビジネスプランを作ってもらう」