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日の丸ロケット「H3」、IHIの福島産部品で力強く飛べ!

低コスト化で欧米に勝負

IHIは2020年度から、航空機用エンジン部品を手がける相馬第二工場(福島県相馬市)で新型基幹ロケット「H3」用部品を生産する。22年度までの約3年間で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とともに計約20億円を投資し、生産体制を整備する。国家プロジェクトであるH3の部品の安定供給を担い、航空・宇宙事業領域の拡大につなげる。

相馬第二工場で新規調達する設備は、大半が旋盤やマシニングセンター(MC)を予定し、特殊加工用設備も含む。設備のほかにも、ライン生産の考え方を導入し、生産面でのコスト削減につなげる。すでに工場内に専用スペースを設け、一部機械の据え付けを始めた。サプライチェーンも含めた準備を急ぐ。

生産するH3用部品は、第1段エンジンと第2段エンジンの液体水素や液体酸素のターボポンプ向け部品。相馬工場で部品を製作し、瑞穂工場(東京都瑞穂町)に輸送して組み立て、最終納品状態にする。

H3は国際的なロケット打ち上げの価格競争に対抗するため、大幅なコストダウンを目指している。現在の主力ロケット「H2」よりも一回り大きく、20年度に初号機の打ち上げを予定している。

IHIはH2用部品も手がけているが「H2用部品は一品生産方式で“職人の手作り”という要素が強かった。H3用部品は量産品のため、生産ラインで新たな発想が求められる」(高橋良二相馬第二工場長)とコスト低減を推進していく。

日刊工業新聞2020年2月5日

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