産業廃棄物工場にAI搭載ロボット導入、若き社長が率いるシタラ興産とは?

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AIにより廃棄物を仕分ける精度や速度などを日々進化させている

アジアで雇用生み、貧困を解消

―産業廃棄物処理工場に人工知能(AI)搭載ロボットとは、とても驚きました。

「動脈産業のように工業化したいとずっと思っていた。静脈産業は機械化がとても遅れている。製造業などほかの産業界の会合に参加しても正直、気後れすることもあった。でも、あらゆる産業界に溶け込んでこそ我々の業界がある。そこで多くの方に来て頂けるような工場にしようと考えた。その目玉がAIロボットだった」

―投資額が約30億円と聞き、さらに驚きましたが、次はその2倍の額の投資を計画されています。

「廃棄物焼却による発電所を建設する。ある銀行のトップの方とお会いした際、『次は何をするの』と聞かれた。『発電です』と答えたら『応援するよ』と言われ、とてもうれしかった。ロボットを導入した際、経済産業省から補助金を頂いたが、お金よりも自分の仕事を認めてもらえたことの方が感激した」

―外国人社員を日本人と平等に雇用している話も印象的でした。

「もし自分が逆の立場だったら、絶対にできないことを彼らはしている。そういう人たちを単なる労働力として見るなんてできない。賃金を払うだけの関係なら、他社でもいい。これは自分の勝手な思いなので、人に何と言われようが、どうしようもない」

―きれい事だとやゆされても構わないと言い切っていますね。

「安い賃金で働いてもらおうなんて考えはさらさらない。ボーナスも出す。それで高い意識を持って真面目に働いてもらった方がはるかに効率的だ。4月には2年目のネパール人がリーダーになる予定。その下で日本人が働く。彼は気配りがものすごく、日本語もどんどん上達している」

―海外から直接、採用してほしいという連絡が来るそうですね。

「口コミで『シタラ興産は働きやすい』という話が広がっているようだ。メッセージをくれた外国人にはどんどん返信し、『一度面接に来る?』というケースもある。もう30人位にはなるかな。それで入社した外国人もいる」

―現場では高齢者も活躍しています。

「高齢の方は気が利く。若い人が気付かないことにも配慮できる。基本的には自分で現場を回りながら場内の美化、交通誘導などフリーで仕事を見つけてもらっている。貴重な戦力だ。当社は60歳以降の人も採用する」

―将来はアジアで産廃処理工場の運営を目指していますね。

「イスラエル出身の友人に連れられ、アジアの貧困地域を回った。ゴミの山の上に住み、有価物を拾って日銭を稼ぐ子どもたちがいて、お金を恵んだら、友人に烈火のごとく怒鳴られ大げんかになった。彼いわく『お金を恵んでも数日後にはすぐに元の貧困生活に戻る。恵むなら、ここにいる全員に一生分のお金を渡せ』ということだった」

―それでゴミの山を工場に変えようとしているのですね。

「国内の同業者とはもう競争したくないという思いもある。ならば海外に出て、雇用を生み、少しずつ貧困を解消していきたい。発電事業の次になるが、55歳までにはやらないと。投資資金の返済もあるし、自分には本当に時間がない」(川越支局長・大橋修)

シタラ興産社長・設楽竜也氏

◇設楽竜也(したら・りゅうや)氏 シタラ興産社長

埼玉県内の高校卒業後、専門学校、行政書士事務所を経て00年、父親が創業したシタラ興産に入社。子会社社長などを経験し、16年社長就任。埼玉県出身、40歳。

『旗を立てずに死ねるか!』(プレジデント社 03・3237・3732)

日刊工業新聞社2020年2月3日

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