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映画や音楽も計上へ。GDPは上がるのか?

政府は国内総生産(GDP)統計に、映画や音楽など娯楽・文学・芸術作品の原本を固定資本として計上する。12月に予定するGDPの基準改定から実施し、過去にさかのぼって推計を示す。同じく知的財産である研究・開発(R&D)投資は、2016年末の前回基準改定で取り込んでおり、それに続く見直し。金額は大きくないものの、国際基準に対応し、経済の実態を的確に反映させる。

新たに固定資本に算入するのは、著作権で保護されている映画、テレビ番組、音楽、書籍の原本。国内で1年以上繰り返し、または継続的に生産されるもので、GDPの「設備投資」にカウントされる。

経済協力開発機構(OECD)が推奨する手法に則り、映画とテレビ番組は生産に要したコストを積み上げる方式、音楽と書籍は印税収入(ロイヤルティー)で捕捉する方式を採用する。映画など4領域は数年前の調査では米国でGDPの約0・4%、英国で約0・3%、フランスで約0・01%を占めるとされる。

内閣府によると、18年度の日本の実質GDPは約533兆7000億円、名目GDPは約548兆4000億円。基準改定は約5年おきに、国際基準に照らした基礎統計の見直し、経済活動の適切な把握に向けた推計への改善などを行っている。今回の改定では、4領域のほか、建築物リフォーム・リニューアルや住宅宿泊事業(民泊)などもGDPに反映する。

建築物リフォーム・リニューアルは産業連関表の見直しで、維持修理であれば中間消費、機能の改装・改修であれば総固定資本形成として算入する。民泊は訪日外国人(インバウンド)客の増加で伸びており、合法的な事業を計上する。このほか、固定資産のリース取引はファイナンシャル・リース(借り手の資産)とオペレーション・リース(貸し手の資産)を整理して推計する。

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