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建設業は活況なのに内外装の下請けはなぜ倒産した?

墨東建材工業、大型受注の工期遅れが命取りに
建設業は活況なのに内外装の下請けはなぜ倒産した?

大型工事を避け中小規模の工事を取っていくことで経営改善を図ったが…(写真はイメージ)

 空港や商業施設、オフィスビルなどの建築金物の製作・施工を多く手がけてきた墨東建材工業。スーパーゼネコンを得意先とし、コンスタントな受注を確保していたが、近年は厳しい経営を余儀なくされていた。

 墨東建材工業は1966年創業、建築物の内外装パネルやルーバー、手すりなど金属板金装飾金物の製作・施工を手がけていた。70年代以降スーパーゼネコンとの取引を拡大し、92年10月期に売上高約19億6300万円を計上した。

 しかし、大型物件が多かったことから回収は長期間にわたり、その間の運転資金として金融機関からの借入金に頼らざるを得ず、金融債務は大きく膨らんでいった。

 得意先ゼネコンからの厳しいコストダウンに応え、採算も確保するため、2009年にベトナム工場を稼働したが、08年にリーマン・ショック、11年に東日本大震災が発生。国内建設市況の悪化、受注競争の激化で、11年9月期(決算期変更)は売上高約9億5400万円に対し当期利益は約310万円に落ち込んだ。

 実はこのときすでに実質赤字経営に陥っていた。このタイミングで数字をオープンにし、金融機関に支援を求めていれば事態は変わっていたかもしれない。

 4億円を超える修正損を計上し大幅な当期純損失を計上したのは13年9月期のこと。遅ればせながら中小企業再生支援協議会の支援を受け経営改善を図ることとなったが、すでに取引先や金融機関に対する信用は大きく揺らいでいた。

 資金繰りを改善するため大型工事を避け中小規模の工事を取っていくことで経営改善を図ったが、大型受注の工期遅れが引き金となって自力での再建を断念、17年12月28日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。金融機関や取引先にとって突然の申請。同社の動向を見守っていた長年の取引先もあったなか、すっきりしない結末となった。
(文=帝国データバンク情報部)
<企業情報>
墨東建材工業(株)
住所:埼玉県越谷市七左町8−101−1
代表:田坂芳郎氏
資本金:2000万円
年売上高:約13億5800万円(17年9月期)
負債:約14億7500万円
日刊工業新聞2018年3月13日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
2020年までは国や業界、金融機関がなんとか「建設業」を支えようとするだろうが、それ以降を考えるとぞっとしてしまう。

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