グノシー、「研究開発担当の主力に大学院生」で得た効果

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国際会議で発表、説明する北田さん(グノシー提供)

Gunosy(グノシー)は自社データを使うデータマイニング(解析)の研究で、インターンシップ(就業体験)の大学院生を主力に据える体勢を整えた。同社の研究開発専任者は1人のため、情報系のインターン学生が週2回、出向いて連携。購入に結びつくウェブ広告の文面判定という研究成果が、難易度の高い国際会議で論文採択された。人工知能(AI)エンジニアなど、現業対応の社員とは別の効果からさらに3人を採用、拡大する。

今回、中心となった法政大学大学院理工学研究科の修士2年の北田俊輔さんは、学部時代にアルバイトで同社に入社。エンジニアとしてニュース・広告配信のデータ分析を手がけた。

その後、同社共同創業者の関喜史上席研究員が研究開発部門を立ち上げるのに合わせ、リサーチャーとなった。学生の学びと相乗効果があるインターンシップで有償・長期の契約だ。北田さんは夏休みに連日出勤し、秋以降は大学の研究室に週4日、同社に週2日通った。

研究成果は、ウェブ広告で効果的な文面作成を支援する仕組みの提案だ。一般ユーザーのクリック予測の技術開発は盛んだが、購入予測はデータ数が不十分で遅れている。

今回は少ないデータで対応できるAIのマルチタスク学習を導入。さらに性別や年齢などユーザーの属性に応じたキーワードを、ディープラーニングで学ぶようにした。

これにより広告文面の善しあし判定や改良の支援が可能になる。データマイニングの国際会議「KDD」で発表した。北田さんは博士課程に進学、同社活動も続ける予定だ。

この「リサーチャーインターン」の活動は、米国では一般的。日本ではサイバーエージェントなど一部で導入されているという。人材ニーズが高い業界で注目されそうだ。

日刊工業新聞2020年1月30日

COMMENT

山本佳世子
科学技術部
論説委員兼編集委員

ベンチャーを含む中小企業において、数年後のビジネスに向けた研究開発に、人手を割くことは容易ではない。上場企業のグノシーでさえ、創業者の上席研究員がいるだけとは意外だった。データやAIの業界は激しい人手不足とあって、修士課程の大学院生でもかなりの戦力になることが今回、証明されたといえる。実社会での活動が学業も刺激することを、研究教員にも理解してもらえば、大学院生のこれまでと異なる多様な活躍が広がることだろう。

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インターン グノシー

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