【新型肺炎】イオン、ユニクロ、日本電産、三菱重工、IHIはどう動く?最新日本企業動向
中国で新型コロナウイルスによる肺炎感染が広がる中、日本企業も対応に追われている。政府によるチャーター便などで“封鎖”された現地から従業員を日本に帰国させることを決めたり、出張を制限する範囲を拡大する動きが出てきた。春節(旧正月)が終わってからの操業・営業をどうするか見通しづらく、日本企業への影響も日ごとに大きさを増している。
イオンは中国武漢市の日本人駐在員12人のうち、数人を残して帰国させる。市内に5店舗ある総合スーパー(GMS)は閉店時刻を前倒しして営業しており、運営や意思決定に必要な人数は残す。商品については自社物流で店舗に供給しており問題はないという。
三つあるショッピングセンターのイオンモールは28日の休業を決定。翌日の営業は前日の状況に応じて判断する。同モール内にあるGMSは時短営業中。
銀行では、みずほ銀行が武漢支店の日本人2人のうち1人を帰国させる。もう1人の支店長は現地に残り、春節明けの対応や情報収集を行う。三菱UFJ銀行も武漢市に支店があり、日本人数人が駐在している。対応を検討中という。
日本製鉄は食品・飲料缶などに使われるブリキを製造するグループ企業「武鋼日鉄(武漢)ブリキ」に勤務する日本人従業員で残っている4人を帰国させる方針だ。副総経理を含めて11人いる日本人の役員・従業員は、当初春節に合わせて全員帰国する予定だったが、うち4人が空路などの封鎖で帰国の途に就けず、現地で足止めされていた。ブリキの工場は春節の間も操業を続ける予定で、27日も平常通り動いているという。
日本電産は武漢市のグループ会社の研究拠点に日本人の従業員が2人駐在。このうち1人は先週末に帰国し、もう1人は外務省への帰国希望登録を行ったという。武漢市には同拠点と別のグループ会社の営業拠点があり、いずれも今は春節休み。春節明けの運用は検討中としている。
IHIも武漢市に日本人社員数人がおり、大使館に帰国希望の登録済み。
一方、三菱重工業はグループ企業の社員は移動制限前に全員退避しているという。
住友電気工業も春節休暇のタイミングで関連企業の従業員をすでに日本に帰国させているが、休暇後の対応をどうするかで揺れている。「休暇が明ける来週以降にどのような対応を取るのか決まっていない」とし、状況を見ながらの判断となる見通しだ。
武漢市にファンモーターなどの生産拠点を持つミツバも帰国した従業員らは春節後、中国に戻る予定だが「状況の変化に応じて時期を変更する可能性がある」という。春節後の生産体制についても変化はないとするが、今後の状況の変化に応じて検討していく。
またユニクロを展開するファーストリテイリングは、湖北省中心の約50店舗で27日一時休業した。交通機関が止まっているためで、50店舗に含まれる武漢市内の17店舗は23日から休業している。営業再開は未定だが、商品納入などの物流には問題はないという。
出張の制限を強化する動きも出てきた。NTNはすでに武漢市への出張を原則禁止しているが、これに加え日本から中国全域への出張も原則禁止とした。
アイダエンジニアリングは中国への出張は時期をずらすなど呼びかける。自社、顧客が措置を取ることで「武漢の会社との商談の遅れが懸念される」と危惧する。他にも企業関係者の中からは「この状況が続くようであれば、少なからず業績にも影響が出てくるだろう」と、新型肺炎の影響を懸念する声が高まっている。