胃がんの腹膜転移による再発リスク、1分で予測可能に
高性能顕微鏡で測定
大阪市立大学大学院医学研究科の八代正和研究教授と栂野真吾大学院生・医師らは、胃がんの腹膜転移による再発リスクを約1分で予測する方法を発見した。胃内部のがん細胞と胃表面との距離をマイクロメートルレベル(マイクロは100万分の1)で測定し、腹膜の表面にがん細胞が散らばる腹膜播種(はしゅ)の発生リスクを判断する。測定距離が234マイクロメートルより短いと再発リスクが高い。手術後に再発予防を含めた治療を進めやすくなる。
研究グループは、がん細胞が散らばらず胃にとどまった状態の患者でも腹膜へ転移する事例がある点に注目した。胃がん切除を行った患者のうち、がん細胞が胃の表面近くに達していた96人のデータを抽出。16人で腹膜播種の再発が起きた。切除した組織で胃表面とがん細胞の距離を測定した結果、再発した患者は平均156マイクロメートル、再発していない患者は平均360マイクロメートルだった。234マイクロメートルを境に再発の頻度が大きく上がった。
高性能顕微鏡を使い約1分で測定できる。
日刊工業新聞2020年1月16日