日本主導どこまで。IHI社長「F2開発時と比べると航空技術はずいぶん進歩した」

満岡次郎社長インタビュー

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航空自衛隊の「F2」戦闘機(航空自衛隊公式ページより)

―2020年の見通しは。
「国内は東京五輪・パラリンピック後も、堅調な投資が期待できる。労働人口減少や働き方改革を背景に省力化・省人化関連の投資が続く。海外は、はるかに不透明だ。米中貿易摩擦や米大統領選挙以外でもさまざまな問題が入り乱れ、波乱要因になる」

―事業領域を資源・エネルギー・環境、社会基盤・海洋、産業システム・汎用機械などと分けています。
「事業の組み立てやポートフォリオは、この先どう変わってもおかしくない。それを決めるのは顧客だ。19年度からの新中期経営計画で事業の組み替えや見直しを進めてきた。事業ごとに人材を囲い込むのではなく、顧客の要望に基づき有能な人材をプロジェクトに直ちに派遣できるようにしたい」

―プラント関連は石炭火力発電が今後厳しいとの声が多いです。
「新設案件はそうだろうが、新興国は電力需要増大にどのように対応するかが課題。二酸化炭素(CO2)削減とのバランスをどう取るかだ。既存プラントの高効率化やリニューアル、再生可能エネルギーと組み合わせた分散型の中小規模案件など、市場の種はいろいろある」

―「F2」後継機のシステム設計費用が20年度予算に盛り込まれました。
「F2後継機の具体的な姿はこれからだが、日本主導の開発というところがポイントだ。防衛当局もそこの重要性はよく理解しており、要求にしっかり応えていきたい。F2開発時と比べると、日本の航空技術はずいぶん進歩した。海外との共同開発の交渉でもプラスになるだろう。先行きが楽しみだ」

―人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の取り組みについては。
「米ベンチャーキャピタルに出資し、現地企業と協業するなど成果も出ている。米国のネットワークを活用し、人脈を他国へも広げると同時に、顧客と稼働データを共有し、生産性向上など改善に向けた提案を強化する。データを自分で囲い込むのではなく、他社と共同で課題解決するようになった今は、事業拡大のチャンスだ」

【記者の目】
満岡次郎社長は事あるごとに、社内での改革のスピードを強調してきた。改革マインドは着実に浸透してきたと言えるだろう。IT利用やデジタル化加速、新造案件中心からエンジニアリング中心へと、重工業界を取り巻く環境は確実に変化している。IHIは他社との協業路線を打ち出しており、これの進展もカギになりそうだ。 (嶋田歩)

満岡次郎社長

日刊工業新聞2020年1月8日

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