関連部署立ち上げ、JALが描く「MaaS像」
日本航空(JAL)は2020年内にも統合型移動サービス(MaaS)の関連部署を立ち上げる。外部から専門家を招聘(しょうへい)するなどして、イノベーション推進本部内に専門チームを設置する計画。航空と、鉄道やバスといった陸上交通との連携策を検討し、事業者間で協議していく考え。旅客の利便性向上や新規ビジネスの創出にとどまらず、人手不足に悩む日本の公共交通網全体の最適化、効率化実現を視野に入れる。
JALの赤坂祐二社長は日刊工業新聞の取材に「MaaSは大きな、やっていかなければならない領域だ。交通網全体の効率化に積極的に関わっていく」との考えを示した。テクノロジーとビジネスモデルを駆使して、次代の交通体系創造を目指すのだという。
航空旅客の移動利便性向上には、出発地―空港間・空港―目的地間の2次交通と空路とのシームレスな移動の実現が不可欠。これまでは各空港でのアクセスバス、鉄道との接続といった部分的な連携にとどまっていた。
国内の公共交通は担い手不足に直面しながらも、一部には、輸送ダイヤの重複や需要との乖離(かいり)と言った無駄が生じている。航空、鉄道、バスなど、より広範な連携で交通の最適化を模索し、社会課題解決につなげる。
JALは19年5月に小田急電鉄が展開するMaaS用データ・予約基盤(MaaSプラットフォーム)「MaaS Japan」に運航情報を提供することを発表。コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じて、新しいエアモビリティーの実用化を狙うスタートアップに出資して新規ビジネス創出の検討にも着手している。
航空他社では全日本空輸(ANA)が19年7月にMaaS推進部を設置し、JR東日本やJR九州らとの協業を始めている。
日刊工業新聞2020年1月10日